この一品が客を呼ぶ冷やし中華麺編・京都:「担担」冷し担担麺

2005.06.06 301号 10面

元ホテルのシェフだった店主による、珍しい担担麺の専門店。「冷し担担麺」は、まかないから生まれたユニークなメニューだ。さわやかな酸味とコクのバランスが新鮮で、しっかり食欲を増進してくれる。通年メニューだが、やはりよく出るのは7~8月。ピーク時には、1日販売数の約4割を占めることもあるそうだ。

「僕自身、担担麺が好きで」という店主の田中千春さん。2000年8月に、担担麺専門店としてオープンした。

麺メニューは担担麺オンリーで、普通の担担麺のほかに、チャーシュー担担麺、冷し担担麺がある。「担担麺は、普通、中華料理店などで食べるメニューでしょう? うちでは気軽に担担麺が食べられるということで、遠方から来られる方もいます」と話す。

担担麺の基本を守りつつ、穏やかな辛さのこの店の担担麺には根強いファンが多く、特に昼時は、近隣の学生や勤め人であふれかえる。

冷し担担麺は、スープがやや少ないほかは、一見、普通の担担麺と変わらない。しかし食べてみると、普通の担担麺とは全く違う。

練りごまを入れた、濃厚で甘めのスープにしっかりとした酸味が加わり、パンチの効いたおいしさだ。

「棒々鶏などもそうですが、冷たいものにごまの風味はよく合うんですね。ただ、冷たいと味がぼやけがちなので、甘みと酸味を強くしています」と田中さん。

さらに通常は客が好みで入れる、ニンニク風味の豆板醤やXO醤を、冷麺にはあらかじめ入れておいてうまみをプラス。よりコクのある味に仕上がっている。

麺は細麺のストレートを使用。やわらかめの歯ごたえが、コクのあるスープによく合う。冷麺とも担担麺とも違う、新鮮な味わいが人気を呼んでいるようだ。

ちなみに、この冷し担担麺は通年メニューでテークアウトもOK。冬は酸味を減らすなど、季節に応じたマイナーチェンジも行っている。

◆担担(京都市中京区壬生花井町23、ファミール四条1階、電話075・822・5211)営業時間=午前11時30分~午後3時30分、5時30分~9時30分、無休/席数=14席

◆食材の決め手:(有)山田製油(京都市西京区)「ビリッとくるぜ ごまらあ油」

担担麺に欠かせないのがラー油。店主の田中さんのお気に入りは、一番絞りのごま油に国産唐辛子を使った、山田製油の「ビリッとくるぜ ごまらあ油」だ。

「100%ごま油を使用しているため、通常のラー油に比べて、香りや風味が豊かなんです」と田中さん。地元・京都のメーカーで入手しやすいことも大きな理由である。

安価とは言えないが、ラー油は使う分量も多く、味に響いてくるため、妥協はできないという。

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