ファストカジュアル・キュイジーヌ:ポップス・ピエロギ

2005.08.01 303号 12面

最近、エスニック料理のファストカジュアルが目立つようになった。「ポップス・ピエロギ」もその一つ。ピロシキ、ボルシチ、ブリンツェなど東欧の代表的な家庭料理を提供するファストカジュアルだ。アメリカにいる2000万人の東欧人を相手に、今後、チェーン化をすすめていきたいとオーナーのボリス・チェルニューさんは張り切っている。

店内には、サモワールのほか、東欧の人形や絵皿、風景画などが飾られて、東欧らしい情緒にあふれている。

オーナーのボリス・チェルニューさんは、10代のころに両親に連れられて、ロシアからアメリカに移住。広告代理店を営みながら、2003年にポップス・ピエロギをオープンした。ウクライナ、ロシア、ポーランド、カザフスタン、グルジア、ウズベキスタン、アゼルバイジャンなどの料理を提供するファストカジュアルだ。

「ソ連が崩壊したあとのほとんどの国に親戚がいるので、各国のレシピは親戚から集めました」とボリスさんは言う。

店の名前にもなっている「ピエロギ」は、水ギョウザのような家庭料理で、中の具は、牛肉、ジャガ芋、マッシュルーム、キャベツ、チーズ、チェリーから選ぶ。サワークリームとオニオンのソテーがつく。

ボリスさんの家では、お父さんがよくピエロギを作っていたことから、店に「ポップス・ピエロギ」(父さんのピエロギ)という名をつけた。店で提供している料理は、ほかに、「ペルメニ」「ブリンツェ」「ピロシキ」「ビーツ」「ボルシチ」など、すべて東欧のソウルフードばかり。合計50アイテムほどのメニューは、東欧風の味のある土器に盛って出す。

ドリンクは、ロシアから輸入したものもそろえている。一律1本1ドル50セントで、パンで作った代表的なドリンクのクヴァスも置いている。チェリーやリンゴなどで作ったホームメードのコンポートは、小が2ドル、大が3ドル。

東欧料理のレストランは確かにあるが、フルサービスのレストランばかりだ。ポップス・ピエロギは、リーズナブルな価格で東欧の代表的な家庭料理が味わえる。平日の昼は、ピエロギかペルメニを選び、スープ、サラダ、ソーダ、デザートの中から2種類を選ぶコンボが6ドル99セントで食べられる。

ボリスさんは、ポップス・ピエロギをフランチャイズして東欧料理をアメリカ中に広めたい考えだ。

「日本のスシが、今やアメリカ中どこでも見られるようになったように、東欧料理を普及させたいのです。東欧にルーツを持つアメリカ人は2000万人いるので、需要はあるはずです」とボリスさんは言う。

◆お店案内

「Pop’s Pierogi」=190 Bleecker Street New York,New York10012(212)505-0055

◆食材の決め手 ピエロギとペルメニ

ピエロギとペルメニは、ブルックリンの食品工場に仕様書発注した冷凍加工品を使っている。27歳にして野心のあるボリスさんは、近々、工場を買収する予定で、工場の名前を含め、詳細は明かしてもらえなかった。

家庭料理とはいえ、ピエロギとペルメニは一から作るのは手間がかかるため、冷凍のものを分けてほしいという客の要望が強く、最近、冷凍のものも販売するようになった。

ピロシキやボルシチなど、ほかの料理はすべて店のキッチンで作っている。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら