電化厨房最前線(42)ダイニングカフェ カメリア
ホテルオークラ東京別館1階にある「ダイニングカフェ カメリア」は、オープンキッチンを採用したカジュアルな店。丼物から洋食まで多彩なメニューを本格感ある味で楽しめるとあって、女性やファミリーに人気だ。3年前の改装時に従来のガスキッチンに加えて一部を電化。厨房環境改善とサービス向上に成果を上げている。
「電化厨房は余熱が出ず厨房内の温度を上げない、掃除がしやすく衛生的、それにコントロール性に優れているのが魅力ですね」とシェフの秋山肇さん。
オープンキッチンを採用した目的は、お客に料理人が働く姿を披露して料理に躍動感を演出することにある。それに食材や料理方法を見せることで食の安全性を訴求できるメリットもある。それだけに従来の厨房以上に見た目の清潔感が要求される。
しかもこの店の厨房は、自店以外にもホテル内の2つのバーとヘルスクラブの食事、それに全室のルームサービスを賄う「ホテルオークラ東京で一番忙しい厨房」だ。改装時にオールガスでは厨房内の温度コントロールや衛生管理がしにくく、オープンキッチン化が難しいと判断。余熱が出ず、清潔感のある電化厨房機器を一部に採用した。
「調理方法がデータ化できることも電化厨房の大きなメリット。同じ厨房機器を使っている料理人となら、料理のジャンルが違ってもレシピのやりとりが可能です」
この店の人気メニューのひとつである「牛スジ煮込み丼」は、和食の料理人のアイデアを参考に考案したもの。和食の厨房で煮物などに使う電気式スービークッカーを活用して調理する。
「牛スジをオーバーナイトクッキングでじっくり煮ると、朝にはジワッと軟らかくなって味ものっています。安全性が高く、自動コントロール調理が可能な電化だからこそ作れる料理です」
ガスなら鍋に調理人が付きっきりになる料理も電化厨房なら人手要らず、しかも、深夜電力を利用するのでランニングコストも削減できる。
電化厨房は、省エネとスピード調理が両立できるところにも魅力がある。
「電化厨房は立ち上がりが早く、ガスのように常時口火をつけておく必要がない。それでも調理時間が短縮できるので、15分で料理が提供できます」
24時間即対応を求められるルームサービスの調理には心強い味方だ。
安全性が高く衛生的、しかも省エネ効果の大きい電化は、24時間営業のホテルに最適のキッチンだ。しかも部分電化でもその威力を発揮する。この店はまさにその好例といえる。
◆現場からの声:シェフ・秋山肇さん
当店では洋食はもちろん、中華の点心メニューから丼、煮物などの和食メニューまで幅広い料理を提供しています。電化厨房機器はここ数年の進歩がめざましい。IHヒーターやスチームコンベクションの性能も大幅にアップしています。今やできない料理がないくらいです。
若手の料理人は日常生活でもデジタル機器の操作に慣れていますから、電化にも抵抗がなく、うまく使いこなしています。彼らは、今後ますます電化厨房を利用するようになると思います。
ただし、電化厨房はガスに比べてイニシャルコストが高いのがネック。これからの電化厨房機器には、さらなる性能アップとコストの改善を期待したいですね。
◆店舗メモ
ホテルオークラ東京「ダイニングカフェ カメリア」(東京都港区虎ノ門2‐10‐4、別館1階、電話03・3224・6074)営業時間=午前6時30分~午前0時/スタッフ=調理30人、サービス30人/調理器具=IHヒーター、スチームコンベクションオーブン、ブラストチェラー、スービークッカーほか/席数=120席
◇ニチワ電機(株)「電気スービークッカーSCW-350T」
ニチワ電機(株)の電気スービークッカーは、高感度電子サーモスタットと強制循環ポンプを採用することで、油槽内の温度の均一化を実現している。
特徴は(1)加熱ムラなく調理できる(2)加熱行程がパネルに表示されて操作が簡単(3)調理手順のマニュアル化が可能なのでレシピ情報の交換が容易、人件費の削減にも役立つ(4)大量の料理を一度に加熱できるなど。煮物料理ほか真空調理にも活躍する。
外寸(mm)=W350×D550×H420
問い合わせ=ニチワ電機(株)東京支店(電話03・5645・2691)