選択自由で無料の広告「アドカード」が人気

2006.07.03 316号 8面

絵はがきとしても利用できる無料の広告ポストカード「アドカード」が人気だ。流行のカフェやレストランの店頭に専用ラックを設置、かわいいイラストやポップなデザインのカードを収納する。自由に持ち帰れるため、コレクションする人も多い。カードには、あて名と短いメッセージを書く欄があるが、基本的には企業や団体の広告カードだ。持ち帰った人が絵はがきとして使えば、商品やイベントの認知も増す。ラックを設置することで客足が増えれば設置店にもプラスだ。広告効果を狙うクライアント、カードを持ち帰る客、客足の増えた店舗の三者が得をするアドカードには、「三方(さんぼう)一両損」の大岡越前も脱帽だ。ポストカード型メディアで広告の新しい分野を開拓する(有)アドカード(東京都港区、電話03・3470・9343)に現状を聞いた。

街で配布するチラシやダイレクトメールは、供給側の一方的な押し売りになりがちだ。自由に持ち帰るカードなら、消費者が自身で選択する意志を表明できる。このアドカードは、10年前米国で、同社の中嶋武史社長が広告ポストカードを見かけたことからスタートした。既存の広告メディアにターゲットを絞ることができるアドカードの媒体特性を組み合わせれば、より効果的なプロモーションが可能になると考え、本格ビジネスを立ち上げた。

「現在、都内に420、全国15都市に1100の設置店舗を抱えています。レストラン、カフェが60%、バー、クラブも含めると70%が飲食店で、月平均100万人以上が設置店に来店します」(同社営業部の佐藤篤志氏)

カードは、はがき大で、デザインは自由だが、多くの企業は自社制作のデザインを持ち込むという。制作数は1種につき1万から20万枚程度。人気を呼んだカードは、コレクター間で売買されることもある。

アドカードを設置する店舗は雑誌にも取り上げられる話題のショップだ。トレンドリーダーの話題に上ることで口コミ効果も期待できる。好きなカードを選択するため保存性も高く、他媒体に比べメッセージ生命が長いのが特徴だ。

目的に応じ、男性の来店比率60%以上の店舗や働く女性がランチ&ディナーに使うエリアなど、配布店舗・地域を選べるのでターゲットを絞ったリーチが可能。

カードに印刷する文字量には限界がある。情報がすべて伝わるわけではない。このため、該当する企業サイトのURLや携帯電話用QRコードを印刷し、ネットと組み合わせた複合的な情報供給を進める。

再開発が進む街には新しいビルの建設が進む。大規模インテリジェントビルは多くの人が集まるパブリックスペースだが、広告展開には制限がある。しかし、こうした場所でもアドカードを使うことで効果的な告知効果が期待できる。

消費者に最も近い場所にあり、自由意志で持ち帰る強制感のない広告は、現代の時代感覚に最もマッチしたものかもしれない。

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