売れるメニューのヒント:弁当編(3)
○1素材で4種類の調理を楽しむ
◆サーモン丼
生鮮市場ステーションコム/茨城県水戸市河和田町3891-2 386g/498円
内容:サケあぶり焼き、サケ刺身、ほぐしサケ、イクラ、錦糸卵、カイワレ、刻み海苔、ガリ、酢飯、醤油、ワサビ。
見所:この「サーモン丼」には、レア(サケ刺身)、ミディアム(サケあぶり焼き)、ウエルダン(ほぐしサケ)という、3通りに調理したサケがトッピングされている。焼き加減を選ぶビーフステーキの場合は、どれかひとつしか選べないが、この丼はイクラというスペシャルレアまで合わせれば、1つの素材で4通りの味が楽しめる。ビーフステーキもこの丼を見習って、焼成加減の違う肉を盛り合わせれば、さらに売れるかもしれない。
○ワサビのツーンが甘辛にマッチ
◆うなわさ丼
サンユーストア若葉店/茨城県日立市若葉町3-1-18 286g/398円
内容:ウナギかば焼き、炊き込みご飯、谷中ショウガ、ごま、パセリ。
見所:この「うなわさ丼」のウナギのかば焼きには、ワサビがまぶしてありツーンと辛い。ウナギにはピリッと辛いサンショウが定石だが、かば焼きの甘辛たれにはワサビもよく合う。舌がしびれるサンショウと鼻にくるワサビとでは辛さの質が違うため、同じウナギのかば焼きでも全く違う後味になるのだ。人気抜群なウナギ、その香辛料をサンショウだけに独占させてはならない。香辛料にワサビを加え、簡単かつ無難な新メニューに挑戦してみよう。
○サイズに勝る格安充実パック
◆おかずパック
おばんざいや たむら 茨城県水戸市泉町1-6-1 水戸京成百貨店内 122g/150円
内容:サケ塩焼き、ウインナー、昆布巻き、だし巻き卵、シュウマイ、ポテトサラダ、ミニトマト。
見所:小さな正方形の容器に、ミニサイズのおかずが7品も入っている。一つ一つは小さいが、白飯と一緒に弁当容器に盛り付ければ、立派な幕の内弁当になる内容だ。すなわち、この「おかずパック」を買って帰り、自宅で白飯と一緒に食べれば、わずか150円で幕の内弁当の醍醐味が味わえるのだ。自宅で一からこれだけのおかずを作ろうとしたら、手間はかかるし原価も150円以上はかかってしまう。小さくても中身の濃い格安充実パックなのだ。
○最強の9つ仕切り弁当
◆中華幕の内
幸運樓/茨城県水戸市宮町1-1-1水戸エクセル内 625g/720円
内容:チンジャオロース、イカとナス炒め、鶏唐揚げ、酢豚、卵とキクラゲ炒め、ザーサイ、エビチリ、サケご飯、白飯。
見所:9つ仕切りの弁当は相変わらず人気が高い。だが一つ一つの分量が少ないという欠点もある。ご飯を詰めると分量上、9つの内の3~4つがご飯になってしまい、おかずは多くても6種類だ。この「中華幕の内」の容器は8つ仕切りだ。だが2種類のご飯をバランで仕切っているため、変形の9つ仕切りになっている。しかもご飯のスペースが大きいので、おかずが7種類も入っている。この「中華幕の内」こそ、最強の9つ仕切り弁当なのだ。
○売場を装飾する彩りセット
◆チキン南蛮
生鮮市場ステーションコム/茨城県水戸市河和田町3891-2 458g/336円
内容:チキン南蛮、キャベツ、トマト、レモン、ネギ、白ごま。
見所:この「チキン南蛮」には、ソース、小ネギ、白ごまがトッピングされている。しかも脇には、キャベツの千切り、トマト、レモンまで添えられている。これで白飯が付けば、立派な「チキン南蛮弁当」だ。フライ売場のほとんどは、フライが並んでいるだけで殺風景だが、このチキン南蛮のように彩りを演出したパック商品があれば、売場は花が咲いたように活気づく。全体装飾の意味でも何品かラインアップしたいところだ。
○中腹にも咲いていた高嶺の花
◆牛タン丼
サンユーストア若葉店/茨城県日立市若葉町3-1-18 430g/550円
内容:牛タン塩焼き、レタス、モヤシ、ネギ、谷中ショウガ、レモン、パセリ、キャベツ、玉ネギ、白飯。
見所:BSE問題以来、牛肉は庶民から少し遠い存在になった。特に牛タンは国産しか代替品がないために、高嶺の花となってしまった。だがこの「牛タン丼」は550円という、庶民にも十分手が届く値段である。まるで高嶺の花が山の中腹にでも咲いているかのようだ。この価格では牛タンを全面に敷き詰めることはできないが、周りを緑に囲まれて咲き誇る牛タンの花は見事だ。
○おいしい食べ方の提案
◆海老カツ(マヨネーズ)
いわきサティ/福島県いわき市平字三倉68-1 100g/126円
内容:エビカツ、オニオンスライス、マヨネーズ。
見所:豆腐とエビすり身を混ぜ合わせたアッサリ味のフライの上に、オニオンスライスとマヨネーズをたっぷりトッピングしている。フライ単体だと、ほとんどの客はソースをかけて食べてしまう。だが、ソースよりもマヨネーズやケチャップがマッチするケースも多い。そのフライに一番合う食べ方を提案する意味でも、フライ売場の華やかさを演出する意味でも、この「海老カツ」のようなフライを何種類か揃えたいものだ。
(メニュー取材日 2006年7月31日~6月20日)