電化厨房最前線(45)「天ぷら 天青」
東京・南青山の「天ぷら 天青」は旬の食材のおいしさを追求する天ぷら専門店。今年で開業2年目を迎え、順調に客足が伸びている。調理を担っているのが「IH天ぷらフライヤー」だ。IH(電磁)調理器を使用して20年という鍋前(店長)の青田操さんに話を聞いた。
「天青」には、カウンター席とカウンター付き個室、個室席の3つの客席がある。カウンターにはIH天ぷらフライヤーが装備されている。
「IH天ぷらフライヤーで揚げた天ぷらは色あざやかで、食べるとサクッとした食感に仕上がります」と鍋前の青田操さん。
天ぷらの味は、史上最短記録でミシュランの三つ星シェフになったフランス料理界の巨匠、ジョエル・ロブション氏にも絶賛されている。
青田さんがIH調理器に出合ったのは20年前、帝国ホテルの日本料理店にいたときのこと。最初は直火がないので戸惑ったものの、すぐにそのメリットを見いだしたという。
「直火のないIH調理器は油煙で店内の空気を汚したり、余熱で温度を上昇させることがありません」
お客に落ち着いて食事ができる環境を提供するのに最適だという。店内には魯山人の墨絵やバカラのアンティークなどの古美術が飾られているが、それらが熱や油煙で傷むこともない。
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IH調理器は、料理人に心のゆとりを与えてくれるのも大きな魅力だ。
「天ぷら職人は無愛想な顔をして鍋をにらんでいるイメージがあります。それは鍋の油の温度や、食材の揚がり具合に神経を集中せざるをえないからなんです」
微調整の効かないガス火で油の温度を一定に保ちながら調理をするのは難しい。鍋から目を離すと火災の危険さえある。だから接客まで気がまわらないのが現実だ。
その点、IH天ぷらフライヤーには油の温度を一定に保つ機能があり、安全性も高い。余計な神経を使わない分、お客とコミュニケーションをとる余裕が生まれる。
「今は昔と違い、料理人も料理だけをしていればいいという時代ではありません。IH調理器なら、調理しながらでもお客さまと笑顔で会話ができますね」
電化厨房の選択は時代のニーズでもあるといえそうだ。
◆店舗メモ
「天ぷら 天青」(東京都港区南青山4‐1‐3、電話03・5786・2228)営業時間=午前11時30分~午後2時30分、5時~10時、日曜祝日定休/スタッフ=調理2人、サービス30人/調理機器=IH無煙式天ぷらフライヤー、ほか
◆現場からの声:鍋前・青田操さん
電化の魅力のひとつには、厨房を省スペース化し、コンパクトにまとめられることもありますね。
当店ではIH調理器から余熱が出ないことを利用して、調理器の横にネタを入れた冷蔵ケースを配置しています。だから、お客さまご自身にネタを見て選んでいただけるのです。
新鮮な食材を揚げたてに食べるのは天ぷら料理の醍醐味。この味に魅かれて遠方から通ってこられるお客さまも多いですね。電化のさまざまなメリットを実感すると、もうガス調理には戻れません。
◆ニチワ電機(株)「IH無煙式天ぷらフライヤーテーブル」
ニチワ電機(株)のIH無煙式シリーズ「天ぷらフライヤーテーブル」は、優れた加熱効率で、絶妙な油温管理を実現。食材を投入した際、油温の復帰が早いので食材をカラッと揚げることができる。
主な特徴は、(1)油温の過剰上昇を防止し火災事故を防ぐ(2)油温を一定に保つことで揚げ物の品質を安定保持(3)油の劣化を防止、油を長持ちさせる(4)加熱速度が速く、調理時間を短縮、など。IH無煙式シリーズには「天ぷらワゴン」「ステーキワゴン」「グリドルテーブル」などがある。
外寸(モデルMIRT‐5‐SL)=W1595mm×D875mm×850mm
問い合わせ=ニチワ電機(株)東京支店(電話03・5645・2691)