地域ルポ 京葉線新浦安(1)商圏3キロに11万人居住、人口急増の新興都市
千葉県浦安市、JR京葉線新浦安は、東京駅まで一三㎞、時間距離で約二〇分という位置にあり、人口急増の新興住宅地として注目されている。このため、東京郊外の新たな消費市場という位置づけで、都市・商業施設やホテル建設が進んできている。
まず人口の推移をみてみると、八三年の七万九〇〇〇人に対し、九二年までの一〇年間が一一万五〇〇〇人と約七〇%増の伸びをみせている。
人口の伸びについては、地域での住宅建設が進んできていることから、二一世紀までには三万人前後の増加が見込まれている。
一方、この人口構成は八五年度では三五~三九歳が最も多く、これに続いては一〇~一四歳の若年層が多いという結果で、転入者が増加していたことを物語っている。
しかし、九〇年度では四〇~四五歳が多いものの、三〇代が減少、これに代って二〇代の増加(転入)傾向が強まってきているという(浦安市)。
これら地域の人口増に伴っては、新浦安駅の乗降者数も伸びてきており、八八年の二万六〇〇〇人に対し、八九年三万五〇〇〇人(三四・六%増)、九〇年五万一〇〇〇人(四五・七%増)、九一年五万九〇〇〇人(一五・七%増)という推移をみせている。
鉄道、交通アクセスといえば、京葉線の一つ隣、東京寄りの駅は舞浜で、ここは説明するまでもなく、東京ディズニーランドが展開する。
さらにその西隣は葛西臨海公園(水族館)で、TDLと並ぶ東京近郊のレジャースポットとして広く知られている。
つまり、この沿線地域には集客力の大きい施設が存在するというわけだが、地域三㎞圏には東西線、都営新宿線、さらには湾岸道路、国道三五七号線、環七、京葉道路、首都高速七号線などの道路網が整備されており、都心からは極めてアクセスしやすいロケーションにある。
新浦安駅を軸とする商圏は、基準商圏が半径三㎞、核商圏が一㎞と設定されているのだが、この核商圏内に展開しているのが、駅前の「ショッパーズプラザ」があり、「モナ」「アトレ新浦安」、さらにはこの7月11日にオープンしたばかりの「浦安ブライトンホテル」などの大型の都市・商業施設だ。
京葉線新浦安地区は、一九六四年(昭和39年)から始った都市計画(埋め立て)事業と、貨物線を転用して九〇年春に開業した同線の全面開通が基盤となって、新都心(郊外都市)としての発展を続けているもので、住宅や商業施設だけでなく、オフィスビルの建設も進んできている。
地域は駅を中心にして、高層住宅や戸建ての分譲住宅が取り囲むような形で発展しており、整然とした街並みがいかにも新興の郊外都市といった印象を与える。
駅南口が表通りといった趣で、この地域には駅前広場を囲む形で、「モナ」および「明治生命新浦安ビル」、ダイエーがキーテナントで入居する「ショッパーズプラザ」が展開しており、地域の顔としてのイメージを訴求している。
これら施設は駅ビルと二階部分のプロムナードデッキで結ばれており、アメニティスペースとしての機能も発揮している。
駅は三層の高架式になっているが、高架下二層部分は今年2月にオープンした商業ゾーン「アトレ新浦安」(別稿記事掲載)になっている。
駅北口は京葉線と平行する四車線の若潮通りで、その向背地は高層住宅が展開するが、この7月11日に駅舎の近接地に地上二二階建て、客室一八五室の「浦安ブライトンホテル」がオープン、新たな集客力を発揮している。
同ホテルは新浦安地区初のシティホテルだが、このホテルの東隣ではさらに地下二階、地上一一階建てのホテル「新浦安オリエンタルホテル」(仮称)を建設中で、平成7年春ごろには完成する予定。
このホテルにも店舗が併設される計画で、新浦安は都市機能を一層充実させることになる。