飲食店成功の知恵(27)開店編 レセプションの考え方
《オ)ー)プ)ン の 格 好 の)練)習)》 レセプションとは、本来の意味は招待会とか歓迎会ということだが、飲食店で使う場合は「お披露目」という意味になる。ようやくお店が完成しました。ついては、オープンに先立って、特に皆様方にご覧いただきたい。今日はゆっくりとお楽しみ下さい‐‐案内状の文句の要旨は、ざっとこんなところだ。行きつけのお店が支店を出した時などに、こういう案内状をもらった経験のある人も多いはずだ。
いずれにしろ、レセプションは、お店のオープンに当たっての大きなイベントのひとつ。オープンというと必ず催した、ひと昔前と違って最近はレセプションをするお店が減ってきてはいるが、それでもまだ、かなりのお店が催しているといっていい。そして私も、ぜひすべきだと考えている。やらない理由というのは大抵、少しでもオープン費用を安くして、一日でも早くオープンしたい、というところだろうが、商売は息の長いもの。長期的な視点で考えれば、決して損はない。
さて、レセプションはお披露目といったが、どのように催すか、概ね次の三通りの考え方がある。
①友人、知人、親類縁者、そして不動産や内装などでお世話になった業者を招いて、感謝の気持ちを表す。身内だけの記念のお祝いといったところだ。
②近所の商店街の経営者や、地域で実力者と目されている人たちを招く。町内会、商店会へのあいさつの意味合いが強い。いわば引っ越し祝いにそばを配るようなものである。
③顧客として狙うべき、商圏内の人たちを招く。事業所などの経営者や生命保険会社の人たちを商店会などで聞いてリストアップする。これは。固定客づくりというだけでなく、かなりの宣伝効果を期待できる。
どの考え方がいいとは、一概にはいえない。しかし、前回のプレオープニングの項でも触れたが、レセプションはやりようによってはオープンに当たっての格好の練習になる、ということも付け加えておきたい。
《資)金)集)め の)効)用)》 ところで、レセプションには実は、もうひとつの効用がある。それは、資金集めである。金額は比べようもないが、政治家が開し資金集めパーティーと似たようなところがあるのだ。もう少し身近な例で言えば、結婚披露宴に近い。要するに、レセプションもやりようによっては、お客がお祝い‐金一封を持ってくるからである。もっとも、結婚披露宴は概して赤字になることが多いものだが……。
冗談はさておき、オープン時は何かとお金がかかる。お祝いも人数が集まればかなりの金額になるから、馬鹿にできないのだ。政治家と違って、お客をダマしたりワイロを要求するわけではないのだから、遠慮することはない。
ただし、お祝いを持って来ていただく以上は、それなりの用意が必要だ。例えば料理。お店の料理もむろん提供して味わってもらわなければならないが、やはりパーティーはパーティー。お店の料理以外に、ちゃんとしたパーティー用出張料理を頼むなり、一応の格好をつけることが大切。そしてお帰りには、それなりの記念品を用意しておくこと。
また、招待の仕方というものもある。お祝いを期待するのであれば、ハガキではなく、きちんとした体裁の封書で案内状を出さなくてはいけない。そして、中に記念品の引換券を入れておけば、まず手ぶらでは来ない。
一方、レセプションをやらない場合は、案内状に金券を添えた方がいい(ハガキを券に当ててもいい)。それでも大抵は、売上げ協力してくれるものだ。金券を添える心が通じるのである。この場合も記念品は必要だが、粗品で十分だ。
フードコンサルタントグループ
チーフコンサルタント 宇井 義行
オープンの格好の練習