厨房のウラ側チェック(33)個人衛生と検便の必要性(その1)
食中毒シーズンのど真ん中、一番注意するのは従業員の個人衛生である。その中でも検便は大事な検査である。検便はフードビジネスで働いている人々に嫌われている検査である。なぜ、それはきたないものを採集しなければならないからだ。たとえ自分の物?であっても、いやなものだ。
しかし、今では採便管が良くなり、衛生的に取り扱うことができる。スプーン付きのもの、直接おしりに差し込むものなどいろいろとある。また、その採集した便をそのままの状態で保存する培地も発達している。それでも、仕事をしている方々にとっては面倒であるものだ。
このような、従事者の気分を会社側、あるいは経営者は教育をして、さらにアメとムチで実行しなくてはならないのだ。
それは、法的義務(食品衛生法第19条の18)のある場合と、監督官庁からの指示の場合などがあるからだ。それよりも、自主的に実行している検便の衛生的価値を企業側が気が付いているのだ。検査をすれば、ある程度はサルモネラ汚染を防ぐことができるし、食品取り扱い者の衛生教育並びに啓蒙にも役立つことを知っているからだ。
ここらで一度、簡潔に検便についてまとめておこう。まず、検便の意義は、健康保菌者の早期発見にある。
われわれのフードビジネス界は労働力の確保が困難な時代が続いているため、国外からの労働力に頼っている。その国外からの労働力は、日本の文化と違うために、衛生学の範囲で戸惑いが発生している。その中には、腸内細菌における問題がたびたび起こっている。
例えば、赤痢、コレラなどの法定伝染病や食中毒細菌のサルモネラなどの保菌者がいるのである。彼らが持っている細菌は、日本の食文化の中では脅威となる。それは一見健康そうに見えているのにもかかわらず、検便をすると問題になる細菌を検出する「健康保菌者」の形で見つかるのだ。
次に、検便の一般的な検査項目は赤痢、チフス、パラチフスそのほかのサルモネラである。現在では、そのほかの検査項目としてカンピロバクターなども取り入れて実行している場合があるが、あまりこらなくても良いと思われる。
なお、検査回数は一般の飲食業では、最低でも年間に四回から六回は実施することがベターであり、個人衛生においてプラスと働くであろう。
食品衛生コンサルタント
藤 洋