関西版:「マンドリーノ北新地店」旬の野菜を生かす名人

2007.08.06 331号 16面

「おそらく大阪市内で一番古いイタリアンになった」とは、1974年にオープンし、市内に3店舗を構えるイタリア料理店「マンドリーノ」のオーナー大久保裕康氏。大阪北新地の老舗イタリアンと聞けば、少々身構えてしまうものの、マンドリーノで料理とワインをゆったり楽しむ夜の平均客単価は昔も今も変わらず5000円ほど。

歴史の長さのみならず、この店の底力をひしひしと感じるのは、今や日本全国のイタリア料理店でおなじみの「渡り蟹のパスタ」の誕生時がこの店だということ。30年間通い続けるリピーターも多く、彼らが必ずオーダーする一品だ。

パスタ教室を開催し、パスタ料理に定評のある店だが、もうひとつのウリは「イタリア料理は野菜料理」(大久保オーナー)と言うだけに、旬の野菜をふんだんに使用していること。同氏がバイヤーとして自ら生産地へ出向き、生産者から野菜の特性を聞き出し、取り入れ、メニュー化する。

「自分の目で確かめ、家族や自身も食べたいものをお客さまに提供する」のは、「野菜が料理の一番の健康要素」と信じているから。野菜好きな女性は多く、イタリアンが好物の女性はさらに多い。マンドリーノが女性に支持を受ける方式がここに成立するわけだ。

「なにわの伝統野菜」もいち早くメニューに取り入れてきた。グランドメニューに加え、40日に一度、季節の野菜からインスピレーションを得てメニューを組み立てる。今夏は、7月中旬までの限定メニューとして目にもみずみずしい野菜をふんだんに使った「泉州水なすと岩がきのマリネ」(1300円)や、7月中旬から登場した「泉州野菜と地鶏ミンチのミルフィーユ」(1100円)が人気を博した。

泉州名産水ナス、こづみタケノコ、大阪ゴボウ、河内レンコン、河内枝豆、エビ芋、泉州玉ネギなど、地産地消を意識して季節ごとの大阪野菜を扱うが、地元野菜だけに執着しているわけではない。「よそにもいいもんはいっぱいある。いい野菜を使いたい」との思いが、日本各地に同氏を駆け巡らせる。最近出合った旬の野菜は、6~7月の中魚沼産アスパラガス、8月の巾着ナスなど。

素材の味を追求する正統派イタリア料理店は、これらの野菜を「さらっと出すのがポイント」と、心憎いばかり。ふんだんに産直野菜を使うが、近ごろ流行の「ナチュラル系」や「地元野菜使用」を大々的に打ち出さない。

「生きてる素材を使うことが楽しい! 調理とはいわば加工業。まず素材ありき。体に良い素材を探して加工すること。それらが近場で取れ生産者の顔が見えるとうれしいが、全国からも旬の素材を供給してもらいたい」と大久保オーナー。

すっかり舌が肥え、レベルの高くなった消費者の要求に応えるこの店の歴史は、今後も伸び続けていくことだろう。

◆マンドリーノ北新地店(大阪市北区曽根崎新地1‐6‐28、電話06・6345・3007)営業時間=ランチ午前11時30分~午後2時、ディナー5時~10時/定休日=日曜日/人気メニュー=渡り蟹のパスタ(1680円)、季節の前菜盛り合わせ(1480円)、名物熱い風呂(1100円)、おまかせコース(3990円)など

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら