地域ルポ 広尾(東京・渋谷) 若者で賑わうFFショップ
それはともあれ、広尾商店街は、交差点付近の雰囲気と比較しても、いかにも下町的な風情だ。広尾橋の交差点周辺も歩道が狭隘で、また交差点の角地に高層マンションの広尾タワーズの敷地が接していて、賑わいが断たれているなどアンバランスな面があるのだが、しかし、どことなくシャレた山の手の雰囲気が漂っている。
交差点の角地にケーキやクッキーの店があり、また、ややセットバックした立地で明るいマクドナルドが出店しているせいかも知れない。
この点、広尾商店街は特色ある個店を別にすれば、街としての華やかさがない。飲食店舗においても賑わいをみせている店は少ない。
交差点から商店街に入ったすぐの右手に、ラーメン・餃子の「太楼」がある。客席数一四席ほどの小さな店だが、商店街にこれといったラーメンショップがないせいか、いつも満席といった状態だ。
昼のピークを過ぎても客が店の外で待つという状況で、外国人の姿も目撃する。ラーメン五五〇円、中華丼七〇〇円など、価格に値ごろ感もあるせいだ。
さらに前進すると天丼レストランの「いか天」がある。昨年12月オープンの店で、テイクアウト弁当チェーンのグロバルフーズ「ランチボックスいろは亭」(井上文雄社長)の新業態だ。
天丼五八〇円、特盛丼九八〇円、かきあげ丼七六〇円、穴子丼、特エビ丼、天ぷら定食、特エビ定食各九八〇円というプライスで、牛丼に比べて高いという印象を受けるが、しかし、それだけに内容が伴っていること、店の雰囲気もシャレていることなどから若い女性客も多く、連日客足が絶えないという賑わいぶりをみせている。
若い人たちがいく店といえば、この商店街には前記のマクドナルドに加え、ピザのシェーキーズほか、ビーフソーセージ一〇〇%の「シカゴドック」、ハンバーガーとサンドイッチの店「ホームワーカーズ」、さらには新装オープンの広尾プラザ一階に、ケンタッキーフライドチキン、アイスクリームショップの「ジェラテリア・ナポリ」などが出店しており、これらの店は外国人の利用も多く、広尾商店街の中では目立って賑わっているという印象を受ける。
単品価格が五〇〇~一〇〇〇円前後で、しかも店の雰囲気が明るく清潔という条件が、はやっている理由のようだ。