簡便・省力化に役立つ缶詰 使用の4大利点
業務用の料理に、缶詰を使う最大の利点を四点にまとめると次のようになる。
① 価格と供給が安定している。
② 下処理の手間が省けて、手軽に調理しやすい。
③ 四季の旬の味をいつでも味わうことができる。
④ 衛生的に安全で、保管の場所も広くなくてよい。
こうした理由で現在、業務用料理素材として缶詰が活用されているのではないだろうか。
北海道のある小さなペンションの朝食で、「この春、作られた地元のアスパラガスの缶詰です。北海道の味をおいしく召し上がってみて下さい」。食卓に乗せられた一言のメッセージ。素晴らしい朝食がほんのりと楽しませてくれた。
土地の材料で、材料の持ち味や特色を生かした最も合理的な料理。そして客への配慮を感じさせた。
フランス料理をおいしく食べるということは、料理を作るだけのものではなく、客に接してサービスするウエーターの努力というものを見逃すことはできない。
彼らは自分の仕事に対しての誇りをもっており、そのために演劇の勉強をし、演出から声の出し方にまで訓練をしたり、毎日の服装にも気を配って、どうしたら、お客が良い気分で食事ができるかを考えている。自分のサービスで、また客が足を運んでくれることにより、自分の収入にも影響があるからだという。
オーナーも店を美しく飾るテーブルの花や、内装にばかりこるのではない。店の周辺の道路に木々や花々を植え、清掃もして美しい環境を作り、日常生活の中での心身両面の疲れをときほぐし、ゆったりとくつろいで、心温まる楽しい食事ができるようにと、いろいろと工夫をしている。楽しい雰囲気で時間をかけて過ごす食事なのだ。
フオンテンブローの農家で昼食をご馳走になった時だった。食堂の古びた大テーブルの真ん中には、いまさっき畑から取ってきたばかりといった、熟れた赤いトマトが山盛りに盛られていた。
席に着くと、一人一人の前に主婦の手製と思われる色鮮やかにししゅうされたランチョンマットが敷かれた。
その上にスープ皿が配られ、ポットのような鍋から大き杓子でスープをつぎ分けられた。固い塩味だけのパンが無造作に切られて篭(かご)に盛られている。そのパンをスープに浸して食べるのだ。
その雰囲気の楽しかったこと。食事はおいしい料理そのものだけではなく、それを味わい楽しんでもらう人と、上手にもてなす人のコミニュケーションの場でもあると思う。