そば屋のつゆのお国ぶり 白いそばにあっさり、黒いそばにはコクを

1992.05.18 4号 22面

そば屋のつゆは、最初に濃い元汁・返しを作ってねかせておいたものを、のばして使っていたが、最近は、生がえしといって、一回ですぐ使える方法をとるようになっている。

味は、店や所によって違うが、そばつゆを大まかに分けると作り方で関西風と関東風に分けられる。

関西風は、料理のすましの系統であるのでうすくちしょうゆに昆布と鰹節のダシであっさりしている。関西のそばは白くない方が好まれるが、これが合うという。

風東風は鰹節の煮出し汁を煮つめ、こいくちしょうゆ、みりん、砂糖を加えて煮たものと元汁にする。したがってあまから味で色は濃いから、関西の人はトド黒くて気持ちが悪いと嫌う向きもある。だが、どちらも永い食習慣から要求されたもので、お国ぶりということになる。

いずれにしろ盛りとざるのつけ汁や、汁そばでも白いそばとか種そばは、少々甘味があった方が合うようだ。

そばの香りが高く、そば独特の甘味のある白くないそばは、つゆの甘味が強いと、そばの特質が生きてこない。

普通のそばつゆのダシは、昆布と鰹節が代表的なものであるが、もっとコクの欲しい時は鯖・むろあじを加える。相性からいえば、白いそばにはあっさりとしたダシがよく、香の高い黒いそばにはコクのある方が合う。汁そばのダシに比べて、つけ汁、もりやざるに使う汁は、サッパリした方が好まれている。サラッと煮出した一番ダシはつけ汁用で、そのあとよく煮出した二番ダシを汁そば用にした習慣があるが、現在は簡略化しているところが多い。うま味からいえば、ダシの材料は単品だけの時と、組み合わせた時ではかなりの差がある。一般的には組み合わせダシの方が美味である。

■本格派のそばつゆのつくり方■

そばつゆには、かけそば用のかけ汁と、ざるなどで食べるつけ汁とがある。

そば屋のつゆの特徴は、本かえし(かえし)をつくるところにある。

かえしのつくり方は、材料として、しょうゆ1・8㍑、みりん200㏄、砂糖75㌘を用意して、しょうゆとみりんを入れ、中火で煮たて、煮たったところで砂糖を入れ火を消し、これをさらし布でこし、自然に冷えるのを持って使用する。残ったものはビンのようなものに入れて保管する。

もう一方で、ダシをとる。水1・8㍑、かつお節75㌘を沸とうさせ細火で30分くらい煮て、布でこしてダシをとる。このダシ汁とかえしを使って「かけ汁」と「つけ汁」をつくる。

●「かけ汁」のつくり方●ダシ汁10、本がえし2の割合でもう一度鍋の中へ入れ、沸とうさせる。これで本格派の「かけ汁」ができる。

●「つけ汁」のつくり方●これは、ダシ汁10に対し、本がえし3の割合で混合し、もう一度煮たてて冷やして使用する。

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