そば・うどん特集 「こんぴら」 創意のオリジナルうどん
「うちは、機械打ちです。手打ち一〇〇なら八〇に落ちるかもしれないが、そのぶんバリエーションで満足してもらう」と言ってはばからないのは、「こんぴら」店主の秋山達也さん。また「自分で打ったうどんは管理が大変。うどんは風味でなくつゆで食べるもの」と、ランチタイムで急ぐ時、夜遅く軽く食べたい人には、冷凍麺を大いに活用し、トッピングでバリエーションを持たせている。
写真上の「京好み」は、つぎつぎ創り出されたオリジナルメニューの中で最も人気が高く、レギュラーメニューに組み込まれたものである。一見してお茶漬風。素材を生かした梅干し、シソの葉、とろろ昆布のあっさり仕立てで九〇〇円。お互いの食材の癖がかみ合った組み合わせの妙といったところ。男性に人気がある。
そのほか、脱サラ後、中華料理店で修業した経験から出た「四川風青菜うどん」(九〇〇円)は女性に好評。「海鮮うどん」(一一〇〇円)は、大鉢に敷かれたサラダにニンニクを効かせたホタテ、イカ、エビ、アサリのあつあつと、ゆでたてのうどんを乗せたもの。客のほとんどが「ワッ」と声を出すが、全部食べてしまう人気もの。「肉きざみ」(九〇〇円)、「あわせ」(ワカメ、とろろ昆布八五〇円)、「鍋焼きうどん」(一五〇〇円)もある。
また、お客の要望で最近始めたランチメニューは、野菜天丼、ミニわかめうどん、小鉢、サラダの四品で九〇〇円。
麺は、基本的には五分ゆで、外に出し水洗い、注文が入ったらもう一度ゆで、つゆは、鰹節、昆布、サバとアジを使っている。
カウンター席一一席のみの店内は、小じんまりしているが、民芸調の小物を配したり、カウンター上にズラリと地方の銘酒を並べ、常時、大鉢に煮物を置くことで夜志向うどん店の雰囲気づくりを出している。天狗舞(二〇〇〇円)、八海山(一二〇〇円)、あんず酒(五〇〇円)、一品料理に、なす天山かけ(八〇〇円)、山かけやっこ(五〇〇円)、キムチ風味おしんこ(三五〇円)がある。
客層は、JR・西荻窪駅から三分の商店街にあるため、カップル、サラリーマン、OL、そして後に控える住宅地の住人。「価格設定も少し高めだが、それに合う味で勝負」としている。
「東京っ子で、そばが一番と育った私が、うまいうどんでうどん好きになった。この味をもっと広げたい」と、東京での創作さぬきうどんのメニューづくりに意欲満々である。一日八〇人、客単価一〇〇〇円。
▽「こんぴら」(東京都杉並区西荻南、03・3334・8356)▽営業時間‐午後6時~12時、月・水・金のみランチタイム(午前11時~午後2時30分)、日曜休み