外食産業活性化への提言 サッポロライオン・長澤猛社長

1994.01.17 44号 14面

ご存知かと思いますが、私どもは今から約九〇年前、明治32年(一八九九年)に、東京・銀座で開業したのを始まりとし、日本最初の「ビアホール」として今日に至っております。

当時は日本麦酒㈱といっておりましたが、それの直営ビアホールとして多店舗化と取り組んできたのであります。

それから明治、大正、昭和、戦後、平成と一貫してビアホール経営をおこない、現在ではこれを主軸にしてビアレストランをはじめ和風ビアホール、フランス風ビアホール(ブラッスリー)、洋風店舗内にしゃぶしゃぶ店を設けたインショップ「そば処」とビアホールを兼ね備えた生蕎麦ブラッスリー、中華および焼き肉ビアレストラン、ケータリングサービス、スポーツ・レジャー施設内での各社厚生施設内の飲食部門の運営委託など、FC展開と合わせて全国の主要都市に一七五店をチェーン化するに至っております。

昨年度(平成4年)売上げは二九三億八〇〇〇万円、営業利益一六億七〇〇〇万円、経常利益一八億五〇〇〇万円という実績でありましたが、今期(平成5年)は売上高二九〇億円(前年比一・三%減)、営業利益六億円(同三〇・八%減)、経常利益一二億五〇〇〇万円(同三二・四%減)と予想しており、大変厳しい業績内容になる見通しです。

昨年(平成5年)8月の中間決算をみても、売上高で〇・四%、営業利益二九・六%、経常利益二八・七%減という結果になっており、例年にない不本意な数字を出しているわけです。

やはり長引く消費不況に加えまして、昨年はとくに長雨、低温、台風の襲来などと天候の異常が続きましたから、客数が大幅に減りまして、その面での打撃が大きかったのです。

しかしながら、手をこまねいていたわけではありませんで、地域一番店を目指して、タイ料理フェア、黒豚フェアなど各種イベントを実施するほか、生ビールの品質管理を強化し、また、値ごろ感のある小皿料理の導入や価格の見直しを図るなど、消費不況や消費者ニーズの変化に対応して、いろいろと企業努力を重ねてきたわけです。

現実には私どもでもビアレストランやブラッスリーなど一部の業態で、ランチサービスとして七八〇円や九〇〇円のバイキング型式での食べ放題を実施しており、それが奏功して客数が五割アップという結果になっているのです。

消費者とはドライなものでして、それで夜のビールやレストランメニューが売れるかというとそうではない。これはあくまでも店のPRということでやっているわけです。

しかし、長引く景気の低迷から、実質本位の低価格志向がさらに強まるのは避けられないことだと認識しております。

したがいまして、私どももお客様本位の店舗運営に徹する考えから、さらにメニュー、価格、サービスの見直しをおこない収益の確保に努めたいと考えております。

それから抜本的な政策としましては材料、人、ランニングの三コストを引き下げる努力です。とくに人件費については大きな問題ですので、パート・アルバイトなどを有効にシフトできるよう労務管理をしっかりと考えていきたいと思っております。

また、店舗の出店につきましては、出店四に対し、スクラップ三と縮小均衡で、攻と守のリストラを推進していきたいと考えております。

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