気を吐くお好み焼き「たこ焼き」 たこ焼き亭=豊富なソースで差別化

1994.02.07 45号 11面

ボリュームあふれるたこ焼きと、既存にないユニークなソースで人気を得ている「たこ焼亭」を展開する東京コンチネント(東京都渋谷区、03・3476・0138)は、平成4年9月に一号店を渋谷にオープン、現在首都圏に一〇店舗(直営五、FC五)のたこ焼きチェーン出店を成功させている。

元宝石商を営んでいた社長の井上唯治さんが関西出張の際に「主食としても食べられている関西の大きめなたこ焼きを関東でも」と思いたった。従来、関東ではめったにお目にかかれなかった具材の豊富なたこ焼きで、間食というイメージから脱却し、主食の客層をつかんだのが成功の要因だ。

直径五㎝の関西風たこ焼き(関東は約三㎝)を目当てに、昼時は近隣のOL、サラリーマンでにぎわう。

渋谷店では休日、食事時に限らず行列ができる繁盛ぶりで、五坪の店舗(テークアウトのみ)ながら月商九〇〇万円を稼ぐ。

メニューは「京風たこ焼」(八個入五〇〇円)のみとシンプルだが、ソースアイテムが七種類とバラエティーにとんでいる。なかでも、粉チーズとタバスコをトッピングし、チリソースで仕上げた洋風スタミナソース、甘味噌をベースにニンニク、ゴマ、七味を加えた和風スタミナソースがお勧め。ほかにソースはだめという人にはショウガ醤油、新製品のキムチをベースにしたからみソースなど揃えており、客層を広げている。

「社員の平均年齢が二五歳と若いので、ソースの研究が熱心。会議でも盛んに意見が出ます」(■乃田葉子ゼネラルマネジャー)。ちなみに、ぽん酢、ドレッシングソースは失敗したとか。

《こだわりを忘れず》 もちろんたこ焼き自体にもこだわりを忘れない。自慢のクリーミーな中身は社長自ら、小麦粉と山芋、豆粉を主に一三種の粉を配合したもの。具のタコは冷凍物は一切使わず、刺身用の蒸したタコを大きめにカットする。「ぜいたく極まりないと仕入れる築地の業者に冷やかされます」(■乃田さん)。食材原価率が二五%とたこ焼き屋にしては高めなのもうなずける。

また、鉄板ではなく銅板を使用、熱伝導が均等に早く行きわたり、表面がカリッとした食感に仕上がるよう工夫している。

サービスについても、社長が宝石商だったことから、商品はもとより信用を重視し、接客マナーなどを徹底させている。この1月にオープンした青山店には、そうした店員教育の場として研修機関のシステムを兼ね備えている。

《30チェーンが目標》 チェーン展開は今年中に三〇店舗を目標としており、関西風たこ焼きが一般的でない東北地方に進出する意向。外人客にも受けが良いため、将来海外にも踏み出す可能性もあるという。FCに関しては食材などノウハウのみの加盟も受けつけており、既存の飲食店のプラスアルファーとしてメニューアイテムの活性化につなげてほしいとのこと。

▽京風たこ焼「たこ焼亭」渋谷店(東京都渋谷区宇田川町一一‐三、℡03・3770・2308)▽営業時間‐午前11時~午後11時

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら