最新エスニック食材講座(15) 「キムチ」腐敗を防ぎ殺菌効果も

1994.02.21 46号 15面

キムチのおいしさは、発酵による熟成されたうま味とスパイス。特に韓国唐辛子のまろやかな辛味と食欲をそそる赤々とした発色にあります。知名度の高い白菜のキムチ、大根の角切りのカクテキ、キュウリのオイキムチ、汁気たっぷりで淡泊なスープ状の水キムチなどのほか、一〇〇種類以上にのぼる種類のキムチがあり、そのバラエティーの多さに驚くばかりです。

出盛り期の野菜を利用するシーズン、キムチと白菜や大根など主材料に大量に漬けるキムジャン、キムチの二つに分けられますが、今は一年中季節感の無い栽培法によって年間を通して漬けることが出来るようになりましたが、温度管理の適性が要求されます。保存に大きな役割を果たす唐辛子には、キムチの副材料として加える肉や魚介類の生臭さを抑えて腐敗を防ぐ作用と、ビタミンCと胃液の分秘を促進させる働きがあり、ショウガやニンニクの香辛料を加えることで殺菌作用と雑菌を抑える作用があります。

また唐辛子には脂肪腐敗を防ぐ効果があることで、キムチに肉や魚介類を同時に漬けることが出来るわけです。他の漬物の塩度に比較して四~五%と少なくて保存出来るのも、唐辛子やニンニク等々のスパイスの効果といえるでしょう。

その他塩辛や魚醤などの発酵食品の助けも大きく役立っています。またキムチの特性は漬け汁も利用出来ることにあります。漬けあがったキムチはかめからそっと引き上げて汁も一緒にいただきます。キムチは漬物としてだけでなく漬け過ぎたものも含め鍋物、スープ、炒め物、煮物などの立派な素材になり楽しくおいしいヘルシーな食品として利用されています。

二、三年前から活発にキムジャン・シーズンになると、キムチツアーが盛んになりました。納得のゆく材料を選び、辛さや塩分もお望み次第、自分の好む味を自分で探し楽しむには格好な手造り食品となるからでしょう。

スパイス&ハーブ

料理研究家 朝岡和子

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