お店招待席 和・洋・中・韓の味処「こり屋」(上野) ニートな雰囲気

1994.03.21 48号 8面

丸井上野店の西側。狭い通りを隔ててビルの地下一階。店舗面積二四坪、六〇席。上野界隈の焼肉レストランの老舗、太昌園(大和寿商事グループ)の姉妹店で、昨年6月のオープンだ。

和・洋・中・韓料理を売りものとしている店で、基本的には辛口料理を訴求ポイントにしている。店は階段を下りて正面に厨房を囲む形でカウンター兼パントリー。

客席は左側スペースにレイアウトされているが、グループ対応の客席スタイルとなっている。

内装は木造り感覚で上野には珍しいニートな雰囲気を漂わせている。中心客層を二〇~三〇代前半としているので、若者の感性にフィットしたインテリアとなっているわけだ。

「若者の感性に合わせた洋風カジュアル居酒屋という出店コンセプトですから、下北沢とか六本木感覚のシャープな中にも温か味のある造作を表現しておりまして、予想どおりに若いOLをはじめ、サラリーマン、カップル、若いグループ客が多くきてくれています。売上げも狙い以上の実績を上げております」((株)大和寿商事専務長岡信裕氏)。

客層の第一ターゲットは二〇代の若い女性だという。若い女性が集客できれば、若い男性客もきてくれる。この狙いは見事に当たっている。

上野では最近、辛口料理の韓国風居酒屋が増えてきている。しかし、ほとんどの店が“オジサン”のイメージの店の雰囲気だという。つまり、若者のフィーリングにフィットしていないということだ(長岡専務)。

料理は海の幸、山の幸、つまみ類、サラダ、デザートなど約四〇種が定番メニューで、ほかに二週間ごとに替わるおすすめメニューも五、六種ラインアップしている。

代表メニューはマグロのユッケ七〇〇円、ちぢみ(韓国風お好み焼)五〇〇円、キムチポックン(豚肉とキムチの炒め)六〇〇円、ピリピリ冷奴五〇〇円、ボンボンカルビ炒め七五〇円、いもチーズコロッケ四〇〇円、特製チャーハン六〇〇円などで、単品価格は四〇〇円から七〇〇円前後だ。客単価二八〇〇円。

食材の仕入れは、韓国料理分野の素材については自社の仕入れ部門から。魚介類や野菜類は専門の業者から手当てしている。冷凍物は一切使っていない。

素材の新鮮さと味づくりにこだわっているので、冷凍食材は使っていないということだが、この仕入れコストはドリンク類を含めて三二~三三%におさえている。

「若者向きのフランクな店といっても、本物志向でなくては支持されません。ですから、食材については鮮度第一という考え方で、冷凍物は一切使っていないわけです」(長岡専務)。

店名の「こり屋」は“コリアン”と“こだわり”の意味でもあるというが、味づくりについては、ストレートにわかる料理ということで、辛口を基本にしている。

あまくもない、辛くもないという曖昧な味づくりでは、客にインパクトを与えない。いまの若者は意外性のある刺激的なものに、ニーズを強めているのだ。

定番やおすすめメニューに加えては、二〇〇〇円、三〇〇〇円、四〇〇〇円など宴会、パーティー料理も提供している。

二〇〇〇円の料理はサラダ、若鶏の唐揚こり屋風、ソーセージ盛合せ(いも付)、牛たんの塩焼、ちぢみ、スパゲティなど六品目のセットで、これに一二〇〇円をプラスすれば、アルコールが飲み放題という料金システムだ。

アルコールはビール、ウイスキー、バーボン、カクテル、サワー、辛口の地酒などほとんどのものを揃えている。月間売上げ八四〇万円。一日の平均坪売上げ約一万二〇〇〇円という効率のよさだが、飲食六割、アルコール四割の比率で、バランスのとれた営業成果を上げている。

(しま・こうたつ)

上野駅から一、二分。丸井上野店の西側、三階建て飲食ビルの地下一階。二、三階に姉妹店の焼肉レストラン太昌園が出店

・住  所/東京都台東区上野六‐一三‐一、ニュータカギビル地下一階

・電  話/03・3832・5444

・営業時間/16時30分~23時30分(無休)

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