炊き込みご飯お店紹介「釜膳」仏料理とよく調和
「フレンチ、イタリアンとブームがあったが、回帰するのは温かいご飯ではないか」(佐藤弘美社長)と、釜めし「釜膳」国立店オープン三年目にして荻窪店を5月末に出店した。
「生ゴメから炊くので三〇分近く時間がかかる。会話の弾む楽しい食事をして欲しい」をコンセプトに、ランチメニューはない。「慌ただしく、時間を気にする人はターゲット外」と、はっきり言い切る。
テーブルには、メニュー表はなく、壁に張られたもののみ。「釜めし」五目上、鰻、鮭、海老、蟹、帆立貝、鯛、ホッキ(一四〇〇円~一七〇〇円)、「特選釜めし」甘鯛、天然生鮎、生うに(一七〇〇円~二二〇〇円)と書かれてある。
「釜めしは、コメ、たれ、具材の調和から生まれる」というだけに、具材は、刺し身になる新鮮なものを市場から仕入れている。メニューを仲立ちとして、客の要望を聞き、その日の新鮮メニューを奨めるという。「スタッフ全員が作って運び、接客サービスをしている」からこそできることだ。
「焼きもの」に和牛フィレ肉、鴨ロース、仔羊ロース、仔牛ロース、牛テールの甘露煮(九五〇円~二〇〇〇円)があり、「デザート」洋梨の赤ワイン煮、柚子のシャーベット(四〇〇~五五〇円)がある。国立店と同じく、フランス料理の経験を生かしたメニューづくり、釜めしが炊き上がるまでの間もたせとして、「フランス料理と和食とのミスマッチが、逆に受けているようです」。
人気の釜めし「五目上」==写真=は、自然有機栽培の玄米を自家精米したコメとホタテ、エビ、ウナギ、鶏肉、椎茸、タケノコ、ゴボウ、ゼンマイ、ニンジンを具材として炊き上げられたもの。
「なま物をそのまま炊くので見栄えは良くないが、ふたを開け伝わる湯気の香りと味は、ほのぼのとさせる。老いも若きも、この一瞬の表情は皆同じ」。最後の「おこげ」をだしと薬味で茶漬風に食べさせる心配りもある。常にお客に密着したサービスで、その九割を女性客とし、主婦からクチコミで、その輪は広がりつつある。
三五坪の二八席。仏料理と釜めしがミックスしたコース料理が好評で、客単価三五〇〇~五〇〇〇円前後。目標月商六〇〇~七〇〇万円。
◆「釜膳」荻窪店=東京都杉並区荻窪、03・3220・4584