お店招待席:中国料理「萬菜」 タイの活造りにも挑戦

1994.08.01 57号 4面

東急田園都市線たまプラーザ駅から二、三分のところ。昭和62年10月オープン。ビル(PLAZAサウスウエスト)三階での出店でありながら、中国料理では地域一番店としての存在にあり、会社利用からファミリー客の利用まで強い集客力を発揮している。

店舗面積七三坪、客席数八〇席。東急西南百貨店の子会社(株)チャイナガーデンの直営店。洋風カジュアルレストランのような雰囲気の店で、内装もベージュを基調にしたソフトムードで女性の感性にフィットしている。

料理は小皿料理(五〇〇円均一)からコース料理(三〇〇〇~五〇〇〇円)までを揃えているが、今年3月からグランドメニューは七〇品目に絞り込んでいる。

以前メニュー数は倍以上の一五〇品目をラインアップしていたが、ABC分析の結果、“デッドメニュー”が半数にものぼるということが分かったので、現在のアイテム数に絞り込んだわけだ。

「料理を作る側としてはいろんなメニューを出したいんでしょうが、やはり経営とのバラスンも考えなくてはなりませんので、売上げに貢献しないメニューは思い切ってカットする必要があるのです。その代り、メニューが単純にならないよう食材の組み合せで、バリエーションが出せる工夫がなくてはなりません。その意味では料理人の創造性と経営(コスト)意識が大きく求められてくるのです」と語るのは鳥越晃店長。

鳥越店長は以前この店に在籍していたこともあったが、今年2月に戻ってきた。店の活性化のための再登場だ。

料理はキャリア一五年の瞿陸世(ツー・リクヨ)チーフの担当だが、この店へはやはり今年に入ってからの移籍で、料理に取り組む意欲を買われての起用だ。

「こういう食材を使ってこんなメニューが作れないかとか、もっと食べやすい工夫、中国料理の素材にこだわらないメニュー企画とか、いろいろとリクエストを出すんですが、チーフはそれを一つ一つクリアしてくれますので、メニューについてはバリエーションが拡がっており、固定客が増えるなどいい結果が出ております」(鳥越店長)。

現在なおヒットしているメニューの一つに“脱皮ガニ”がある。これはワタリガニを使ったもので、小ぶりで甲羅がやわらかいので、まるごと食べられるというものだ。

これをバーベキューソースやオニオンソースにして、コース料理の一品として提供している。

通常のワタリガニと違って食材にムダがなく食べやすい上に、カルシウムが豊富でヘルシーであるので、客の満足度は高い。

このほか、中国料理ではあまり使わないタイの活造り、ボリューム感のあるナマコ料理、さらには今年3月から導入した五〇〇円均一の「小皿料理」も人気で、この店のメニューづくりはすべてにおいてエキサイティングだ。

「私は上海、北京料理系の料理づくりを得意とするんですが、しかし、店の営業にプラスするのであれば、こだわりません。いろいろと工夫しトライするのも、これからの料理人の生き方と考えています」(瞿陸世さん)。

五〇〇円均一の小皿料理は、平日夜の集客アップを意図して導入しているもので、午後4時から同9時30分まで、酒のつまみとして評判のメニューだ。

ピリカラサラダ、エビ塩揚げ、手羽醤油煮、エビチリ、豚ニンニク茎辛炒めなど人気メニューをラインアップしている。

食材は冷凍もの、生もの五割五割の利用だが、コストは三三%におさえている。

客層は平日の昼が会社勤めの人、夜が若い女性客やカップル、会社関係の宴会・グループの利用。土・日・祭日はファミリー客が主体になり、トータル的にみれば、固定客が六、七割のウエートを占める。

客単価は昼一〇〇〇円、夜三〇〇〇円。客数は平日三〇〇人前後。土・日・祭日で四〇〇~四五〇人で、近くに東急百貨店(たまプラーザ東急SC)があるので、休日に強い運営形態をみせている。

平均月商一五〇〇万円だが、二割アップの同一八〇〇万円に引き上げるのが当面の課題で、これは、宴会客・グループ客の集客を強めることで可能だという。

「客単価を引き上げれば目標は達成できますけど、それでは客に負担をかけることになります。やはりメニューは安さとボリューム感で、客数を多くとる工夫が大事だと考えています」(鳥越店長)。

(しま・こうたつ)

中国料理にこだわらない食材の使い方と、調理方法で、常に新しいメニューを創り出すという鳥越晃店長(右)と瞿陸世チーフ(左)。

客席数80、ボックス席やパーティルームもあり、カジュアルレストランのようなフロアレイアウトだ

姉妹店の「チャイナガーデン」よりワンポイントアップの運営

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