繁盛店食べ歩き:中華ブームに乗って中国酒も人気急上昇
周富徳ブームによるのかどうか知らないが、中国料理が好調だ。「風が吹けば桶屋が儲かる」式に、老酒、紹興酒に代表される中国酒も元気がいい。以前はお燗にしてザラメを入れて飲んだため、冬は良いが夏はさっぱりという商品だった。しかし、飲み慣れるにつれ、本来の味を楽しむロックが常となった昨今は通年商品となり、リピート客を増やしながら裾野を広げている。中国酒の微妙な味の違いもわかってきた“飲ん兵衛”は、TPOで飲み分け、高品質愛飲者も急増中。まずはキンと冷えたビールで威勢よく乾杯!! あとはじっくり中華を肴に中国酒を味わう。そこで、中国酒を売り物にしている繁盛店を食べ歩いてみた。
JR・新宿駅東口から徒歩〇分のじゅらく8(エイト)ビルは、(株)聚楽本社の自社ビルで旗艦ビルの役割を果たし、地下一階から地上七階まで、イタリア料理、ティールーム、和食、中華、パブなどの専門飲食店の集合体である。
同ビル四階の中国料理「聚楽飯店」(じゅらくはんてん)は、昼はサラリーマン、OLのランチに、夜は接待から宴会と年齢層や集まりの目的に応じてリーズナブルに対応し、好評だ。
中華イコール高価の殻を破りたいとランチにはコーヒーを無料でつけている。新メニューは一皿二~三人前のものを一人前と量を少なくし、品数を多くオーダーして種類を楽しめるよう工夫している。
味は広州系で、さっぱりとし、季節の食材の味をひき出す。アルコール類は紹興酒とビールが半々に出るほど中国酒が定着している。
同店が紹興酒に勧める料理は「牛タンセット」(一二〇〇円=写真)。牛タンをニンニク、ショウガなど数種の香辛料と一緒に五時間煮込む。味付は砂糖、醤油、老酒。ふかふかの中華まんじゅうをこの牛タンのソースにつけて食べるとやみつきに。
(Tel=03・3352・7427)
紹興酒によく合う「牛タンセット」
JR・秋葉原駅東口そばに北京料理店「〓煌」(とんこう)をオープンして三〇年。電機街とは反対側のため、客層は九〇%サラリーマンの常連だ。街が電機街と特殊なため、飲食店の経営が難しい秋葉原界隈で中華専門店三〇年は唯一という。昼のランチは宝菜(五目ウマ煮)六三〇円から。夜はサラリーマンの“一杯需要”に対応するため一品料理に注力。冷菜(くらげの酢のもの)、エビチリ、牛たんの煮込みが売れ筋メニュー。夜の客単価は三〇〇〇円。
三四坪、座敷も含めて六九席の店舗で紹興酒(一本二〇〇〇円)を月に三〇〇本程売る。
中華にはやはり中国酒を楽しんで欲しいと、サンプルを各テーブルに置いたところ、売れるようになり、愛飲者を増やしている。
北京料理は醤油味でこってりが特徴。同店三〇年のロングセラーメニュー、肉餃子も肉を多めにジューシーでボリューム感を出し、サラリーマンの人気を得ている。ビジネス街にもかかわらず、午前11時~午後10時まで店をクローズせずに営業を続けていることも信頼関係を生む一因という。
同店のお勧めの一品は「生ほたて・アスパラ・シメジの炒め物」(一人前二〇〇〇円=写真)。旬の味は紹興酒と一緒で一層ひきたつ。
(Tel=03・3255・7084)
中国酒は月に300本出る
横浜中華街に、エビチリ、炒飯、麻婆豆腐などのこれぞ中華料理というメニューを置かない中華専門店がある。「一五坪三〇席と小さく、メーンストリートから外れているため、アイデンティティー、オリジナルで勝負」するのは、台湾の家庭料理を中心にオリジナルメニューを次々に打ち出すチャイニーズレストラン「興昌」(こうしょう)。
モットーは「食べておいしく」。中華街の高級店を食べ歩いたグルメたちが三〇〇店目に到達するのが同店とあって、味にうるさい客が多い。
「〓葱蟹」(渡りガニ炒め・二五〇〇円)はどこにも負けない自慢の一品。イタリア料理のアレンジで、オリーブオイルをごま油に、カニの下ごしらえを揚げずに蒸してさっぱりと仕上げており、残ったスープで中華麺をいただくと絶品。
こじんまりした店ながら、強い客の要望によりメンバー制度「来吃喰」を作って季節の便りやフェアの案内をしている。フェアでは必ず新しい中国酒を紹介。中国酒も五年物の陳年(二五〇〇円)から八年物の精醸陳年紹興酒(三〇〇〇円)に完全にシフトしたという。
(Tel=045・681・1293)
売れ筋の8年物「精醸陳年紹興酒」
三年前の12月にオープンし、平日の昼から週替わりランチ目当ての客で賑わう「飲茶酒楼〓(BE‐MI)」(やむちゃしゅろうびーみ)。
店のコンセプトは、おしゃれでモダンな洋風インテリアを楽しみ、本場中国のさまざまな料理を手ごろな価格で食べてもらうこと。
大使館や超高級マンションが林立している渋谷区広尾に立地。外国人客も多い同店のお勧め料理は、「クラゲ・大正エビ・チャーシュー・薬膳どりとピータンの前菜」(二〇〇〇円=写真)、「ニラ・エビ入りの蒸し餃子」(五五〇円)、「鳥肉・エビ・バナナの揚げ物」(九五〇円)など。
ほかに九品からなる五〇〇〇円のコースも人気があり、多様な飲食ニーズに対応している。客単価は約五〇〇〇円~六〇〇〇円。店舗面積六〇坪、客席数八〇席。ガラス張りの明るい店内は、家族連れも多く、二〇~六〇歳までと幅広いキャパシティーをもち、洗練されたムードと国際的な味の価格を得ている。
中国酒は、陳年紹興酒(ボトル=三五〇〇円、ハーフ=一八〇〇円)、ライチワイン(ボトル=三五〇〇円、グラス=七〇〇円)などが用意されており、現在、夏にピッタリのレモンを浮かべてロックで飲むメニューの提案をしている。
同店の美人ママ〓陽〓〓さんは、人気歌手〓陽菲菲さんの妹。
(Tel=03・3446・1175)