寿司に大衆化の波 「京樽総本店」格調崩さず大衆価格に

1994.11.07 63号 16面

5月30日に京樽総本店がリニューアルオープンした。社用を対象にした個室の懐石店で客単価二万円クラスの同店が「現代の顧客ニーズに合致した、新しい業種業態の商品を開発する場」として厨房合わせて三〇〇平方メートルの店内をイス席五六席、座敷一室一四席と持ち帰り部門を併設。自然志向のもとに、厳選した素材を職人の技を駆使した調理、提供を目標としている。客単価は昼二五〇〇円、夜は七〇〇〇円だ。

開店して五ヵ月たち、客数は以前の倍となった。特に、以前は男性が主流だったところ女性客が増え、昼はほとんどが女性「本物の味と雰囲気」を味わってもらうということから、店内には中庭があり、季節の植物をながめながらゆったりと食事が出来る。イスと仕切りは透かしになっており、圧迫感がなく、あづまやのように出た屋根とあわせて侘びの世界をかもし出し、都会の喧噪を忘れさせてくれる。

「シャリ、仕込みから全部手作り」で、テークアウトの京樽店で販売している売れ筋ナンバー1の茶きん寿司二六〇円も同店では四六〇円。祝い事や会合、イベントなどに「本店の茶きん寿司」と早くもファンを作っている。

「ここ一店でしか食べられないということで、他店との差別化は一番」(監物支配人)と分析する。イートインとテークアウトの比率は六対四(9月)、テークアウトのなかでも菜材が二五%と好調で、固定客をつけ、特徴を出している。

イートインは得意とする上方ずしを柱に、懐石料理を提供。昼は大徳寺膳三八〇〇円など三種(二八〇〇~五〇〇〇円)、夜は和膳三種(三八〇〇~六〇〇〇円)と懐石二種(八〇〇〇、一万円)のほか、アラカルトも揃える。

「大衆の高級嗜好」に路線を変えるに伴い、懐石料理と菜材に共通の食材を使用するなど、ローコストにも本腰を入れ取り組んでいる。

▽京樽総本店、03・3666・5445

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