お店招待席薬膳料理「ミセスガリレオ」東京・中央区

1994.12.05 65号 4面

今年５月１８日にグランドオープンした「聖路加ガーデン」（東京・中央区明石町）のオフィス棟「セントルークスタワー」（地上五一階、地下四階）一階での出店だ。店舗面積二〇坪、客席数はカウンター一〇席、円形テーブル二卓二〇席の計三〇席。総ガラス張りの明るい店で、ファストフードショップをイメージした店舗デザインだ。店の雰囲気がクール過ぎて無機質という印象も受けるが、板張りの床が温かみを付加している。

壁面の棚にはビタミン類やカルシウム、ベータカロチン、レシチンなどの栄養補助食品（米ファーマバイト社製「ネイチャーメイド」）もディスプレイして、これら商品の外販もおこなっている。

この店の売りものは、医食同源の思想に基づいたオリジナルの薬膳料理（ヘルシーメニュー）だ。主力メニューは別記のとおりで、「粥クリニック」三種（各八〇〇円）、「カレークリニック」三種（各一〇〇〇円）、「ジュースクリニック」五種（各七〇〇円）で、メニューにはすべてカロリー表示もしてある。

・粥クリニック=薬膳粥（二九〇Ｋカロリー／貝柱・菊花・チンゲン菜・マツの実・クコの実）、仙人粥（二九〇Ｋカロリー／柚菜・ゆば・クリ・ミブ菜・陳皮）、精進粥（二六〇Ｋカロリー／ちりめん・サンショウ・荀・緑豆・オクラ）

・ジュースクリニック=スーパーエネジー（二〇〇Ｋカロリー／機能性鶏卵・バナナ・プロティンのほか七種のブレンド）、ストレスミラクル（九〇Ｋカロリー／アロエ・ブロッコリー・無臭ニンニク他五種ブレンド）、ビルディングカクテル（七〇Ｋカロリー／トマト・ニンジン・ビーポリング他五種ブレンド）、ファイバーパワー（六〇Ｋカロリー／サツマ芋・カボチャ・レシチン他三種ブレンド）、ヴァイタミンシェイク（一五〇Ｋカロリー／アボカド・レモン・パイナップル他四種ブレンド）

・カレークリニック=ベジタリアンカレー（六一〇Ｋカロリー／パンプキン・オレンジ・ピールキャベツ・ドライオニオン＋ビタミン剤ビールイースト）、アイアンマンカレー（六四〇Ｋカロリー／機能性鶏卵・ホウレン草・ベーコンビッツ＋ビタミン剤Ｂコンプレックス）、エグゼクティブカレー（六二〇Ｋカロリー／ガーリックチキン・ベークドトマト・クレソン＋ビタミン剤Ｅ）

これらメニューはすべてオリジナルで、しかも商標権も取得している。料理は管理栄養士や調理担当の女性スタッフが調製し、クッキングする。

しかし、レシピーはすべて店のオーナーの清川美保子さんが作り上げたものだ。この店は清川さんの体験から出店したといういきさつがあり、店のコンセプトもレシピーも清川さんのアイデアと健康に対する問題意識から実現しているものだ。

清川さんは数年前に肝臓を患ったことがあり、それを食事療法で治した。そして、このときに食生活の大切さを知ると同時に栄養士の存在の大きさもわかった。

しかし、栄養士たちの社会的地位は十分でなく、評価も低い。それなら、この二つの要素を満たしたヘルシーフーズの店を作ろうということで、この店が誕生したわけだ。

「正直にいえば、何が何でもヘルシー志向ということでもないんです。この場所は有名な聖路加病院があるところですから、地域のイメージや地の利からすると、こういった業態の店があってもいいのではないかということも考えたわけなんです」（オーナー清川美保子さん）。

飲食関係は初めての清川さんだが、衣裳デザイナーという本職に加えて、東京・青山でブティックを経営しており、物販小売についてはプロであるのだ。

店はイートインのほか、テークアウト、ケータリングサービスもおこなっている。ケータリングの売上げ貢献度はまだ低いが、これから積極的に取り組んでいきたいと考えている。

三本柱の主力メニューに加えては「シャーベットクリニック」五種（各五〇〇円）、「お茶クリニック」五種（各六〇〇円）もラインアップしている。

シャーベットはスペイン産の高純度ビーポリン花粉や、アメリカ産のボーンミールカルシウムを新鮮な野菜と果物でブレンドしたもので、これもオリジナルレシピーによるものだ。

お茶はクコの実、朝鮮人参、アシタバ、アロエ葉、ジャスミン、ゆず、昆布といった野草や天然素材を配合したもので、店内ドリンクのほかにギフト商品（二五〇〇～九五〇〇円）としての外販もおこなっている。

客層は聖路加ガーデンオフィス棟のサラリーマンやＯＬ、地域への来街者、居住者など。客単価は一〇〇〇円。日商二〇～三〇万円。

売上げについては施設全体への集客力が十分でないことから、目標を大きく割っている。しかし、テークアウトやお茶の外販（ギフト）が好調であることから、先行きの見通しは明るい。