特集 お好み焼き・たこ焼き・もんじゃ焼き お店紹介「錦」

1995.02.06 69号 12面

東京・月島には、もんじゃ焼き、お好み焼きが六〇軒ほど集まっているが、その中でも「錦」は創業者から引き継ぎ、古沢禎司さんがオーナーとなってからも一八年を経過する老舗。

もんじゃ焼きのルーツは、子供に字を教えるために鉄板で文字を描きながら焼いた「文字焼き」だが、ここでの大ヒットとなった「なっとうもんじゃ」は、おいしい味を求めて創業者が考案したもの。現在ではすっかりなじみになったチーズや明太子といったもんじゃ焼きの草わけ的存在の店でもある。

導入当時は「同業者からそれは邪道だ、血迷ったなどと散々たたかれました」と、今でこそ笑って話す古沢さんだが、新しいメニュー、味への挑戦では常に試行錯誤を繰り返している。

店内はもんじゃ焼きだけでも五〇種類以上もあるが、中でも人気ベスト5は「もち明太子」(一四〇〇円)、「サケバター」(一一〇〇円)、「モーもんじゃ」(一二〇〇円)、「味道楽」(一三〇〇円)、「特製ミックス」(一二〇〇円)。

特に人気No.1の「もち明太子」は、大きな明太子が二つ真ん中にドーンと乗っており、これにそば、もちがついていて、明太子のボリュームとともに量の多さに驚く。

また、変わったところではシラス干しにシソの葉、ゴマを混ぜ合わせた「ちりめん問屋のごまだんな」がある。古沢さんは、シラスの生ぐささを消すためにネギとおろしショウガを使うことによってこのネックを解消したと説明するが、ひとつのメニューを増やすにも、においはもち論、具材との相性などもあるようだ。

仕入先は企業秘密だが、もんじゃ焼きを作る場合、おつゆの中に鶏がら、コンソメなどを入れている店もあるが、古沢さんは「最も大切なポイントは揚げ玉にある」と言う。固い揚げ玉、大きい揚げ玉では油が切れない。そのために酸化し食べてもたれる原因になると。

「もんじゃ焼きの作り方は教えてあげるが、良い揚げ玉の安定供給確保は他の店では出来ない」と、自信とともに胸を張る。それだけに、昨今は月島でも繁盛店は少なくなってきた中でも、「錦」には連日、若い女性(客の九九%)が行列をなしている。

◆もんじゃ焼「錦」(東京都中央区、Tel03・3354・8697)

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら