注目の繁盛店 焼肉ファミリーレストラン「赤門」(本社千葉・八千代)
不況、低価格、内食志向といった逆風の中で飲食店の経営はかつてないほど難しい時期を迎えているが、これらのハンディを乗り越え今なお店の前に行列が見られるというのが千葉県内に一〇店舗を持つ焼肉ファミリーレストラン・チェーンの「赤門」(経営母体=(株)赤門)。
学問における最高府の象徴が東大の赤門なら、飲食業における最良の企業を目ざしたいというところから名付けられた赤門。昭和48年に一号店を開店、その後は一気に一〇店舗まで拡大したがいわば「お客様不在の利益至上主義」‐‐規模の拡大のみを追求したツケが重くのしかかり、やむなく七店舗に縮小、財政的にもピンチに立たされたことも事実。
この時の反省から企業経営で最も大切なのは社員の人格形成、経営の先生は“お客様”を実践し、貫き通している。
利用客とのコミュニケーション、顧客の要望をくみとる努力、これは当然とはいえ実現となると意外と面倒。“お客様ご要望実現会議”の実施、年間一万通以上も寄らせれるハガキをもとに戦路の企画、立案。ポケベル順番お知らせシステムの導入、十数項目から成る接客、調理免許制度、月一回店を閉め一〇〇項目のチェックを行うという店内清掃の徹底など数えあげたらきりがない。
また、不況で飲食業もリストラが進んでいるが合理化は逆に味と反比例するというのが同社の考え。セントラルキッチン万能の風潮の中で食品は包丁で切った時から酸化が始まる。おいしい時間を見はからい肉をカットするなど飲食サービス業の原点、味の追求を今日も目ざしている。
“経営のプラスはお客様のマイナス”、これはメニューの開発、提供にも生きている。
店内、各テーブルに置かれているメニュー表も他店のものとは趣きが異なっている。利用客の要望をメニュー化したというだけに、メニュー表にははっきりと赤門No.1、いちばん売れてます「ビッグダブル定食」(カルビセット・カルビ・レバーセット=各一四五〇円)からNo.4、「肉中心ダブル定食」(カルビセット一八八〇円)まで四つのメニュー。
「メニュー開発では普通はお客さんが混乱するが、当店はお客さん主導型で逆です」とは取締役グランドマネージャーの鈴木正氏。
客層はヤングファミリー、学生が主力。平均客単価一五〇〇~一六〇〇円。一店舗平均月商二八〇〇万円(同客席八〇~九〇席)、穴川店(千葉市)は一四八席で同四〇〇〇万円という超繁盛店。全体の売上高、客数も前年比五%増を確実にクリアしている(営業時間=午前11時~午後10時)。
一店でも赤字があれば出店しない。店の質の低下を防ぐため直営店以外は出店しない。肉とともに大切なコメは宮城の「ささにしき」を指定、炊き立ての味を常に提供する。今後はJR千葉駅、船橋、柏、松戸などに三~四店舗の出店を計画している。
◆「赤門」(焼肉ファミリーレストラン)/経営母体=(株)赤門(本社=千葉県八千代市勝田台一‐一、Tel0474・84・3301)/店舗数=直営一〇店舗