淘汰進む居酒屋チェーン 女性受けする最新メニュー12選

1995.04.17 74号 12面

居酒屋への女性進出が以前にも増して進んでいる。酎ハイブームを境に目立ち始めたその現象は、当初は男性について来る向きが多かった。だが、最近は女性同士の常連客も当たり前。男性を引き連れて来店するのも珍しくない。オヤジギャルがはやったのもまだ記憶に新しい。居酒屋業態も女性上位の波が押し寄せてるかに見える。「女性の来る店、必ず男性(財布)が現れる」とする外食の法則に従えば、居酒屋の活況も当然のことだ。だが居酒屋の場合、女性は飲むアルコール量が少なく、しかもしゃべってばかりで、極めて回転率が悪く、売上げも見込めない客層として敬遠されることもある。実際はどうなのか。「女性は料理を食べに居酒屋へ来る。おいしい料理を出していれば問題はない。むしろ女性は高価で少量のメニューでも本物であれば金を惜しまないでオーダーするケースが多い。しかも品数多く食べたいという傾向にある。女性好みのカクテルやライトアルコールの原価率も圧倒的に低い。少量のつまみでビールばかり飲む男性客に比べれば、はるかに効率の良い客層なのです。悪影響が出るのはアルコール一辺倒で満足な料理がない店。負け惜しみじゃないですか」。ある居酒屋チェーン幹部はこう解説する。居酒屋が女性客を対象にした場合、料理の質が明暗を分けるといえそうだ。今回取材したなかで、女性に最も人気のあるメニューを紹介する。集客戦略の参考にしては‐‐。

「八百八町」には、とにかく常連客が多い。その大半は女性で、年齢層も学生の若者からPTAの主婦までと幅広い。ランチや喫茶店としても頻繁に使われるというから、そのアットホームぶりがうかがえる。人気の秘密は手作りメニューを気どらずに楽しめること。奇抜さがなく、どこにでもありそうなメニューをひと工夫しているのが特徴。毎日替わるおすすめメニューの紹介を、店長自らの文章でメニュー紙に書くという心にくさも受けている。

◆「八百八町」=東京都大田区東矢口一‐一七‐一二、Tel03・3738・9155

○コロッケオムレツ

(450円)

揚げたての自家製コロッケをミルクでのばし、オムレツで包んだもの。中身のミステリー感が好評。ライスと一緒にして定食にする客も多い。

○ホウレン草とベーコンのサ ラダ(450円)

ホウレンソウ、玉ネギ、ベーコン、いりタマゴのオーソドックスなサラダ。自家製ドレッシングが決め手。人気を誇るロングセラーメニュー。

○たこ焼ポテト(500円)

ジャガ芋を蒸してつぶし、コーンとチーズを入れ、まるめて揚げたもの。鰹節とのマッチが美味。子供連れに好評。

近隣のみならず、はるばる東京、埼玉からもやって来る。美味料理を食べるには場所を問わない。そんな客層で「えぼし」は連日活況を呈している。目当ては二五〇種類にもおよぶ魚介類を主力としたメニュー。近隣の主婦(パート)によって作られた手作りメニューは、どこかなつかしさを感じさせる。必要以上に手を加えず、素材の持ち味を生かすのがモットー。旬の素材を追い求める姿勢は開店以来変わらない。いつ来ても、どこから来ても楽しめる居酒屋だ。

◆「えぼし」=神奈川県茅ヶ崎市南郷五‐一七‐五六、Tel0467・86・6217

○生シラスの天ぷら

(650円)

近隣のえぼし岩でとれるシラスをその日のうちに天ぷらにしたもの。めったにお目にかかれない生シラスの天ぷらとあって、来客層のほとんどが注文する人気ぶり。

○赤座エビのガーリック焼(1500円)

近隣の大磯沖でとれる赤座エビをバター、ガーリックをベースに焼いたもの。刺し身用の新鮮なエビを焼いて食べるおいしさは、ぜいたくそのもの。

○マグロ骨付ステーキ

(850円)

マグロのスペアリブと形容される。じっくりと焼かれ、身は唇が触れただけで骨からはがれるほど柔らかい。味付は、素材の持ち味を生かすため、醤油と塩だけ。

昨年11月、居酒屋「おらんだ屋敷」チェーンから「海鮮山鮮」チェーン第二号店としてオープン。女性をターゲットに、酒を飲めない人にも気軽に食事が楽しめる新しいタイプの居酒屋とした。店内は、女同士、カップル、ファミリーと客層はさまざまだが、酒を楽しむ人、食事を楽しむ人でいっぱいだ。

料理は、和食をメーンにした酒の肴や、しっかり食べ応えのあるごはんメニュー、グラタンなど女性を意識したものが豊富。料理とドリンクの売上げ比率は六対四。年三回季節メニューを取り替えて旬の味を提供する。メニューも、一品五〇〇~七〇〇円とリーズナブルだ。

◆「海鮮山鮮」=東京都中央区銀座四‐二‐一二、クリスタルビル九F、Tel03・3567・3666

○かぼちゃのムース

(420円)

魚のすり身とカボチャの裏漉しを、生クリームでかためた春のメニュー。若い人に人気がある。

○アボカド山かけ(680円)

マグロの赤味にアボカドを潰したものを掛け、生醤油で食べる三味一体の味。若い人に人気。

○鳥蓮根せんべい(500円)

鳥ささみを薄く伸ばしたものと、レンコンの蓮切りを油で揚げたヘルシーせんべい。ビールに合う一品。

古くから珍重されてきた七味に手を加え、独自の七味たれをつくり味のベースとしている。焼き鳥屋の基本スタイルの炭火焼きだ。カウンター越しに見られる煙が雰囲気を醸す。

メニューアイテムはかなり絞り込んでいるが、洋食出身の店長のアイデアから焼き鳥屋らしからぬメニューも展開する。しっかりした料理が地元客の支持を受け、酒を飲む人、食事を楽しむ人とさまざまの客層が店内を埋める。

◆「七味亭」=東京都目黒区自由が丘一‐二九‐一四、Tel03・3723・7373

○七味焼   (300円)

牛ヒレ肉に自家製特製たれを掛けた上に、エダムチーズを乗せ焼いたもの。お通しに大根、ニンジン、キュウリ、キャベツのスティックと味噌だれがつく。

○ピーコン焼 (250円)

ピーマンの中にスイートコーンを入れ、上にとろけるチーズのモッツアレラを乗せ、焼き上がりにパセリとパプリカをちらし、色どりを添えた一五年来のロングセラー。

○ささ身梅ダレ焼(200円)

鳥ささ身に特製梅だれを掛けた、色どり彩やかな一品。さっぱり味が女性に受ける。

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