サニタリーは基本がすべて 慣れが大きな落とし穴

1995.04.17 74号 17面

新米スタッフがやっと持ち場に慣れたと思ったら、まもなくサニタリー月間が始まる。昨年の猛暑もなんなくクリアしたからと甘く見ている“アナタ”。その慣れが大きな事故に結びつくんですよ。プロも新入社員も「サニタリーは基本に始まり基本に終わる」というように基本がすべて。今シーズンの対策は万全でしょうか。まだという方のために、事例を三つ紹介しましょう。さあ、今年も無事故でサニタリー月間を乗り切り、無事故記録を伸ばしましょう。

「衛生は教育の基本中の基本であり、段階を追って教育するものではない。マニュアルはあるが、知識と実務につきながら教育してゆく」(広報)方針を取っている。

厨房内、店内では器具保管場所をわかりやすく、整理し機器類は用途によって色別し、容易に行動できるように、システム化しており、動線が流れるように設置されて、個人の知識や意識の判断にゆだねることは最少限におさえている(間違いが起きる可能性があることは避ける)。

CLEEN AS YOU GO(クリーン・アズ・ユウ・ゴウ)の言葉が社内にあり「行動するところはすべて清潔にする」という心構えを浸透させている。そのための第一に「みだしなみ」を教育の原点としてスタートさせている。

服装、身体のみだしなみはくり返しくり返しチェックして覚えさせる。各店長やマネジャーは爪の伸び具合をみたり、入社当初は長髪のカットも要請する。みだしなみを徹底させて、社の体質や店風を作りあげる。乱れや崩れのない躾の下には、立ち居ふるまい、言葉遣いも正しくなる。衛生教育の第一歩は「みだしなみ」にあった。

外食の最大手マクドナルドは三八〇〇人の正社員と六万九〇〇〇人のアルバイトで約一万一〇〇店を運営している。現場でもアルバイトの力はフルに活用されており、オペレーションから衛生までの指導もアルバイトのトップ「スイングマネジャー」が行う。一店あたりアルバイト八〇人でうち一〇人がスイングマネジャー。社をあげて毎年6月から10月の間にサニタリーキャンペーンを行う。

各店内でスイングマネジャーごとにチームをつくり、店内コンテストを開催して士気を高める。内容は各店の自主性に任せているが、基本は▽三〇分に一回の手洗い▽上半身に手がふれたらその場で手を洗いに行く▽手洗いはひじから‐‐というように手洗いの励行が主。そのほか在庫の温度確認やユニフォームの清潔さなどをポイント制にして結果を出し、最優秀には賞を出す。

アルバイトの平均勤務期間は約一年。経験が少なくてもすぐに実行できるマニュアルを自分達で計画させ、おしつけではなく、参加意識を盛りあげることがポイントだ。

サニタリーから見ると「なま物ありの和食でしかも手づくりは最悪の環境」の大衆割烹を中心に約四四〇店、一日一〇万人の客を接客する大庄は食品衛生研究所を持ってその対応にあたる。「年間、社内向けに三〇〇時間衛生の話をする」という安藤洋次所長はビジネスの中で生きる食品衛生の実践を行っている。

同社ではサクセス、調理技術、主任候補、主任、店長候補、店長と段階ごとに研修があり、それぞれで衛生を取り上げている。また、主任と店長のみの衛生研修を年三時間義務づけられている他、毎月一回の店長会議、調理主任会議でも必ず二〇~三〇分時間を取る。「新しいことを踏まえて古いことにも注意を促す」ことが大事。

内容は食中毒って何? から始まり、手洗いのポイント、果ては化学物質や添加物、サイエンス的なことまでと幅広い。同社は「二〇年で一〇店舗」の独立が目標のため、オーナーの資質として「理論武装ができること」を掲げ、取り組んでいる。

現場では毎月1~7日を食中毒防御週間として大掃除を行い、うち一日は店長が社員に衛生教育を行う。一店舗あたり年一~二回現場指導もし、三回ダメなら店長はクビというシステムもあり、ボーナスの査定にもなっている。

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