注目の繁盛店 郷土料理「ゆうき丸」 東京・新宿
ふるさとの味、それぞれの旅先での味に出合うために訪れるのが、いわゆる郷土料理店。
日本一の繁華街、東京・新宿は西口駅前から青梅街道を渡ったすぐそばに立地しているのが八丈島・郷土料理「ゆうき丸」(経営母体=(株)おじゃれ)。
店内は、景気の低迷が続いているにもかかわらず、ほとんどが接待客(法人関係)で占められており、予約をしていないとまず無理という繁盛店だ。
八丈島の網元(オーナー)の所有している船の名「ゆうき丸」を店名にしているだけに、「魚」を主体にした各種料理の味は保証付き。店内には「刺し身を食べないお客様はほかの店へどうぞ」の張り紙も見られるほど。
魚は天然ものが毎朝八丈島から直送されてくるのをはじめ、最もおいしい食べごろを見計らって客に提供される。また、従業員もすべて魚の切り身を見るとその魚の種類が分かるというほどで、注文したメニューについてはお客さんに魚の種類を一品ずつ丁寧に教えるという親切ぶりだ。
さらに、調理も魚によっておいしい部分がそれぞれ異なるために、例えばオナガダイでも頭はかま焼きなどの焼き物に、中身は刺し身とそれぞれに分けて料理される。
掘りごたつ形式の落ち着いた店内。漁師料理らしく、豪快に盛られる「刺し身の盛り合わせ」、世界で最も大きいトビウオ(春トビ)の「かま焼き」(二五〇〇円)、「くさや」(同)などはぜひ食べてみたい一品としておすすめしたい。
サラリーマン多く客単価8000円
接待、会社グループでの催しなどで使われるため、客層はサラリーマン、OLが圧倒的に多い。このため平均客単価も高く約八〇〇〇円前後(酒類も含む)。
「西新宿店」は客席四二席(営業時間=日・祭日除く午後5時~11時30分)。従業員は七人(調理人三人含む)。ただ、今後は外食店も回転率を高めることで効率的な店舗運営が求められてくるとして「一般の顧客獲得にも力を入れていきたい」(近藤正弘店長)としている。
魚メニュー主体が売り物だが、八丈島特産の「あしたば」を使った「天プラ」(七〇〇円)、「おひたし」(五〇〇円)、「桜海老しんじょう揚げ」(九八〇円)も人気メニューだ。魚では「八丈島特産刺し身の盛り合わせ」(魚はその日の入荷によって一部異なり、キンメダイ、ヒラマサなど六種=三〇〇〇円)、「くさや」(トビウオ=二五〇〇円、ムロアジ=一五〇〇円)、「各種かま焼」「同・かま煮付」(二五〇〇円から)、それに本州では食べられないという「八丈島ずし」(メダイ三個・岩ノリ二個=一人前一〇〇〇円)、「岩のりずし」(五個=同一〇〇〇円)も好評。
「西新宿店」は昨年からランチメニュー(午前11時30分から午後1時30分)を始めたが、「ゆうき丸丼」(鉄火、白身、イカ、メンタイなどミックス=一〇〇〇円)はお得なメニューとして女性客の獲得にも結びついている。
酒類は、八丈島特産の焼酎(大漁、黄八丈、一本釣りなど一一種類=各三九八〇円から)が揃えてある。
◆郷土料理「ゆうき丸」/経営母体=(株)おじゃれ(本社=東京都港区南青山三‐八‐一五、Tel03・3746・8989)/店舗数=直営五店舗