お店招待席=手作りケーキと欧風カレー「トップ&サクソン」英国パブの雰囲気
ケーキショップ三十数店を展開する「トップス」と、カレーショップの「サクソン」が合体し、手作りケーキと欧風カレーの店としてオープンしたのが昭和39年。当時、おしゃれなレストランで、欧風フォンドボーを使ったカレーを、スプーンだけでなくフォークで食べる新しいカレーショップとして、ビジネスマン、OLの間で受けた。丸の内界隈からタクシーで食べに来る客もいたという。
店名の「サクソン」は、アングロサクソンから採ったもの。そのため、店内はイギリスのパブをイメージさせる雰囲気づくりをしている。
黒い木の梁と白い漆喰壁とのコントラスト、壁に掛けられた狩猟の絵、照明を落としたライティングなどカレーとケーキの店とは思えない。
このミスマッチした雰囲気づくりが、逆にランチタイムのビジネスマン、OL、昼下がりの主婦たち、そして夜は、アルコール類をも楽しむ男女といったように、幅広い客層を取り込んだようだ。平日の八割、土・日の六割が固定客で占められる。
「月一~二回は、必ず見える方が多い」(渡部二三男支配人)ほど、定着している。
「バブル崩壊後、赤坂の街も様変わりし、またTBSが移転したのに伴い、客数も大きく変化しました」(同)
バブル期には、一日来店客数四〇〇~六〇〇人という数を示したこともあるが、今は、ランチタイム八〇~一〇〇人、アイドルタイム六〇~七〇人、夜が八〇~一〇〇人。平均二六〇人前後という。
現在、ドリンクの売上げに占める割合は一割だが、「あくまでもカレーとケーキを柱とするコンセプト」は変えず、五種類のケーキは、スポンジ、チョコ、生クリームの品質吟味のうえ、手作りで提供する。また、一五種類近いカレーは、近くポーク、チキン、ビーフと三種類あったセットメニューを外し、絞り込んだメニューにする。
「決まったものをセットするより、取り合わせを楽しむチョイスの時代です」(同)
カレーメニューは、サクソン風カレー(甘口)とインド風(辛口)の二種に分けられる。一番人気は、「ビーフカレー」(一七五〇円)、「チキンカレー」(一五五〇円)、「野菜カレー」(一五〇〇円)で、全体の五割を占め、その他、「ビーフココナッツカレー」(一八〇〇円)、「果実カレー」(一五〇〇円)がある。
ケーキは、圧倒的に「チョコレートケーキ」(五五〇円)に人気が集まり、「レアチーズケーキ」(五五〇円)、「紅茶のケーキ」(五五〇円)が続いている。
オードブル・スープに「タコとセロリのサラダ」(八〇〇円)、「ビシソワーズ」(六五〇円)など、ドリンクにワイン、ビールがあり、客の好みでそれぞれを組み合わせ、カレーをゆったりした雰囲気で楽しめるディナーコースに仕立て上げた。
柱となるカレーの味は、フォンドボーとたっぷりの野菜を使ったスープに、使用者発注で作らせたルーから成るが、微妙に変化しているという。
「一〇年前には濃厚な味だったものが、今は、何回も食べたくなるライトな味に移行している」
味とともに「目に見えない無限のサービスこそ、今の時代には求められる」として、徹底した従業員教育を行っている。
特別な研修ではないが、先輩が代々受け継いできた接客技術を仕事の中で身をもって示し、後輩に伝えていく方式だ。
笑顔によるソフトな接客から固定客は少しずつ増えているが、来店客数は、昼に比べ夜が弱い。あくまでカレーとケーキを柱にしているだけに、アルコール類への依存はならず、絞り込んだメニューでどう展開していくか注目されるところだ。
〈トップス&サクソン〉
〈創業〉昭和39年
〈所在地〉東京都港区赤坂五‐三‐三、TBS会館地下、Tel03・3582・6701
〈営業時間〉午前11時~午後10時、年中無休
〈従業員数〉社員五人、アルバイト五人
〈客単価〉二〇〇〇円
〈一日来店客数〉約二六〇人
〈月商〉一五〇〇万円
〈客層〉幅広い年齢層
〈人気メニュー〉ビーフカレー、野菜カレー、チョコレートケーキ