厨房のウラ側チェック(73)PL法と飲食店(その3)
企業における製造物責任問題への取り組みの基本として、九州大学の北川俊光は、(1)PL法理論の理解(判例を含む)(2)PLP(Pr‐oduct Liability Prev‐ention)への取り組み(3)PS(Product Safety)への取り組み(4)PST(Product Safety Tech‐nology)への開発(5)PLD(Product Liability Defense)への取り組みの五つの基本をあげている。そして、これらの要素をそれぞれブリッジ化しての総合的な製造物責任問題への対応が必要としている。そこで今回からPLPと飲食店の対応方法について述べることにする。
PLPは、料理を中心とした事故予防である。いわゆる飲食に起因した衛生上の危害の発生の防止である。そして、その中心は食中毒の防止となる。料理は人が直接食べるものであり、その事故は直線的に被害をおよぼす。PLPのPはPrevention(予防)であり、企業の大小を問わず、PLPとして何をなすべきかである。
飲食店のPLPとして、第一に、従業員の衛生教育、第二に、仕入れに対する検品、第三に、下処理と調理法(五行五法)、第四に、TTT理論(Temperat‐ure Time Tolerance)、第五に、個人衛生、第六に、施設の不備不適の改善、第七に、掃除(洗浄と消毒)、第八に、検査と反省、第九に、PSとPSTの取り組み。しかし、大前提は衛生関係法規の遵守と苦情に対する誠実な処理対応であることに疑いの余地はない。
一般的に飲食店のPLPの行動計画は、計画(Pl‐an)↓実行(Do)↓確認(Check)↓処置(Act‐ion)のビジネス・サイクルと同様に進めることになる。PLPの第一歩を踏み出すためには、企業内にPLの対策委員会なる設置が必要不可欠となるであろう。では、このPLの対策委員会の組織をどのような組織構成にするかをまとめてみる。
PL対策委員会は、委員長を役付役員、副委員長を品質保証部門担当役員、委員として品質保証関係のワーキング・グループのグループ長、最後に、事務局は経営企画とか広報部などが良いと思われる。
なお、委員のワーキング・グループ役割については、(1)食品等の生物科学的安全性の確認(2)内部監査(3)PL関連文書管理(4)衛生教育(5)クレーム対応と被害拡大の防止(6)被害の発生原因の究明などがある。以上のPL対策委員会は、個人企業にとっても考え方は同じ。
食品衛生コンサルタント
藤 洋