急浮上する21世紀型チキン料理・ロテサリー 花正「ファームグリル」

1995.08.07 82号 4面

「低カロリー」「低脂肪」「低塩分」‐‐時代のニーズである「健康」「ヘルシー」「シルバー」を象徴するかのような21世紀型チキン料理「ロテサリーチキン」(フランス風肉の丸焼き)がアメリカから上陸、レストランやファストフードでじわじわと浸透している。香辛料や独自の手法で下味を付けたチキンを長時間かけてオーブンや独自のロテサリーマシーンで焼き上げるというもので、油を使わないのが特徴。イートインではチキンをメーンに野菜料理をサイドメニューにしたセット売りが主流で栄養バランスも良い。

一つ難点と言えば時間が経ったときの風味の劣化がフライドチキンよりも著しいこと。これがクリアされれば専門店以外のFF、FRにも浸透すると思われる。ここでは昨年暮れから今年にかけてオープンした専門店3店を紹介する。

(株)花正(東京都江戸川区、03・3617・0511)は昨年9月、東京・銀座八丁目に二五〇坪、三四六席(最大)という大規模レストランで、「不必要な油分を取り去ったヘルシーな肉料理・ロテサリー」がメーンフードの「ファームグリル」をオープンした。店内はレストランとワインバーで構成されたカジュアルなカントリーレストランの趣である。

中心部にグリラーと焼き肉機を設置し、厨房で働くコックの姿が見える。シェフは英国人、デリとデザートはイタリア人が担当するというこだわりようだ。

同社は「肉の花正」で知られるように肉の小売専門店と焼き肉バイキング、しゃぶしゃぶ、ステーキなどの肉専門レストランの顔を持つ。これまでのレストラン部門はあくまで肉の消費拡大という意味で「肉を食べる」目的のレストランであった。

しかし、昨今のヘルス・コンシャスニーズを考えると肉だけでは客を引きとめることが難しくなってきた。そこで新たな同社の提案がヘルシーなロテサリーチキンと香草を豊富に使ったヘルシーなサイドメニュー、肉の消化を助けるワインが提案できるレストランのファームグリルである。

売れ筋メニューは▽スタータ(前菜)=貝柱のグラタン一一〇〇円、イカのフライ九〇〇円▽サラダ=シーザーサラダ八五〇円、ガーデンチョップサラダ八五〇円▽ロテサリー=フェーマスチキン一六〇〇円、ファームグリルチリ一二〇〇円▽パスタ=スパゲティーカリフォルニア、パスタマリブ各一二〇〇円▽ワイン(ボトル)=シャブリ二二〇〇円、ピースポーター一六〇〇円。

同社にとって肉以外の豊富なメニューノウハウを蓄積したことは非常な貢献となっており、今後の新業態開発にも大きな力となる。「当初は骨付き肉は面倒だし食べにくい」という声があったがリピート客が多くなった現在は「皆さん上手になりました」(同店)という。客単価は昼一〇〇〇円、よる三六〇〇円。月商五〇〇〇万円を見込んでいるが、ほぼ見込みどおりの推移となっている。

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