コメ特集 人気の付加価値米使用例=無洗米「三和」
旅行客や劇場などに高級懐石料理、幕の内弁当などの仕出しを二四時間交代制で生産している三和(株)(東京都墨田区、03・5608・3030)は今年の4月、大幅に炊飯ラインを見直し、これまでの炊飯と炊飯米の併用で対応していたご飯(一日三〇〇〇~四〇〇〇食、月平均コメ一五~一六t使用)を、無洗米使用の一〇〇%自家炊飯に切り替えた。
弁当の種類が多品種なためにご飯も白いご飯、赤飯、炊き込みご飯など、多品種になる。連続炊飯釜では対応が無理なので付加価値ご飯は炊き、ほかは炊飯米の使用で対応していた。
「最大のネックは工場の水使用料が月五〇t以下という制約。これを超えると浄化装置三〇〇〇~四〇〇〇万など大がかりな工事が必要なため、なんとか避けたい。これをクリアするために無洗米の使用となった」(山口栄三取締役工場長)
無洗米の味・品質の方は、三年ほど前から急な飛び込み注文の時に、直ぐに炊けるので使っていたため、心配はしていなかった。
使用して最もうれしかったのは、コメの浸漬に使った水をタンクにためて床掃除などに使えることである。洗米の作業がなくなった分、炊飯に費やす時間が短縮され、面倒だったが異物混入の原因になるために特に気を使わなくてはいけなかった洗米機の管の掃除もなくなった。空気中のコメヌカによるカビ菌などの心配もない。
立体釜からガスの連続式に炊飯ラインに替えたということもあるが、「味的にはそれまで一〇キログラム四五〇〇円のあきたこまち、コシヒカリを使用していたが同じ味を出すのなら一~二ランク下げても良いというほどおいしい」(米飯事業部主任尾形和俊氏)。保管も常温で通常米と同じ扱いが出来るため、特に気を使わなくてもよい。
コメは銘柄とランクを指定してから無洗米加工するというシステムのため、一週間に一度の割合で四tずつ入荷する。
気になる価格面だが山口工場長は「価格的には同じくらいの味だと割高感があるが、通常のコメが五キログラム要るところが無洗米だとヌカがついていない分四・八キログラムで済み、水使用、労働時間短縮を考えたら品質的にも安心でき、利用に踏み切ってよかった」と語る。