ワイン特集 ワインと料理 「TORIFUJI」
ワインはあらゆるメニューにマッチするといわれるが、ワイン専門店でありながら焼き鳥屋でもあるという店は珍しい。イメージ的にミスマッチなこれらを手掛けるのが、東京・銀座の「TORIFUJI」だ。一般の流通ルートではお目にかかれないワインリストと低価格のおつまみに定評がある。メニューは串焼きを主に三八〇円~一〇〇〇円、ワインはボトルで三五〇〇円~二万円まで。安いおつまみで、さまざまなワインが楽しめ、トータルプライスを圧縮できることが売り物だ。
「レストランではワインがオマケ的に扱われて、しかも高い。また、ワインを楽しもうと訪れても必ず食事を強いられ、それがまた高すぎる。ワインは単なる酒、焼き鳥もただのおつまみ。イメージや格式にとらわれず純粋に楽しめれば良いのではないか」(針井一裕代表)。ワインを安価で楽しませるためおつまみを安くしただけで、ワインと焼き鳥の相性については特にないという。
価格設定もその信念に基づいて一律の利益分を乗せただけにしている。ワイン自体の原価率が約六〇%という数字は、一般例の二倍の数字だ。「いままでのワインの提供方法がおかしかっただけ。気軽な焼き鳥でリラックスして、ワインの魅力も素直に楽しんでもらいたい」という願いが展開の原動力だという。