食器がここまで変わった 普及する軽量磁器、作業負担を大幅軽減

1992.08.03 9号 23面

食器の歴史は食物の歴史と同じである。食物が文明の進歩によってずい分と変ってきた。食器も目立たない存在ではあるが時代のニーズに合せて素材の開発が行われている。

食器の主流である陶磁器類をみても長い間あまり材質面での新しい開発はなかった。形状やデザインで時代の要求に応えてきたが最近になって新しい材質の開発が行われるようになってきた。

一つは五年程前から発売された強化磁器がある。陶土に金属類(アルミナ)を混合して普通磁器より強度の高い丈夫な食器を作ることに成功した。一部の外食ユーザーでは食器類の破損率を下げ補充費を節減するために採用するようになってきた。

《 》 しかし強化磁器は金属粉を大量混入するためにいくつかの欠点がある。①食器が重くなる②成形が不安定になる③絵付が不安定になる④熱伝導率が高く熱くなり易いなどの問題が出て来た。

しかし従来の普通磁器では破損率が高く、使いきれなかった高級感を演出するための微妙な形状の食器を開発することが出来るようになった。

強化磁器の採用ユーザーは現在は集団給食の分野が多いがむしろ和風の高級食器に適しているように思える。この強化磁器の逆を行く軽い磁器として軽量磁器が最近開発された。磁器の強度を落さずに重量を軽くする技術が開発され商品化に成功した。

この軽量磁器は成形や絵付の安定性もあり、熱伝導率も普通磁器と同等である。軽いこと自体がチッピング発生率を下げることに効果があり、食器の補充費を少くするが現場で働く人達の作業負担を軽減する効用が大きいようである。

食器の歴史は軽量化の歴史といわれている。

同じ茶碗の磁器でも鎌倉時代、江戸時代、現代と軽量化の道をたどっている。食器の中に入れる食物も減塩、減糖、減脂とライト化の傾向になっている。また材質面でも軟質化といったソフト化の傾向にある。

食器も口に入るものではないが作業負担のライト化というニーズが強くなったようである。

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