チェーン店の注目株:景勝軒 人材育成第一に4年で17店 地域密着を追求するラーメン道
(株)景勝軒は、群馬県を拠点に「景勝軒」など17店舗(4月末時点)を手がける新興ラーメンチェーン。2009年8月の会社設立以来、地域に見合った各店独自の味作りと接客サービスを展開し、うどん文化が根強い競合地で急成長している。1日集客数は10~15席の小規模店で100~200人、30~40席の中規模店で400~500人。「人材育成」を社訓に掲げ来年3月末までに直営30店舗を築く計画だ。
トップの櫻岡一生社長(32歳)は、24歳で「茨城大勝軒」(麺屋こうじグループ)の田代浩二社長に弟子入りし、群馬県のエリアマネジャーとして5店舗を出店した後、のれん分けで独立。田代社長から授かった心意気を原動力に事業拡大を加速している。
その心意気を顕著に表しているのが「居抜き出店」と「顧客還元」を基軸とする徹底した現場主義だ。店舗・設備への投資を極力抑え、その分、原価アップとスタッフ充実を優先。各店が独自裁量で地域客層が求める味、価格、接客を作り上げている。
櫻岡社長は「田代社長のもとで、味作りよりも臨機応変が大切だということを学びました」と語り、「味はいろいろあっていい。その地域の客層が求めるラーメンを追求する努力が大切。味やサービスの標準化は、ある意味、経営者の都合でしかない。各店スタッフが地域の空気を読んで自ら考える。その成功と成長を経て独立してほしい」と、人材育成に意気込んでいる。
とはいえ看板商品も際立つ。群馬県産の小麦をはじめ地産地消に注力し「上州もりそば」と「ふじ麺」の人気を不動にしている。また、地元意識の強い県民性に習って地域行事に積極的に参加するなどコミュニケーション強化を惜しまない。外食激戦区、北関東での健闘が注目される。
●店舗情報
「景勝軒」 本社所在地=群馬県伊勢崎市境上渕名575-1
●社長プロフィル
櫻岡一生(さくらおか・かずお) 1981年東京都町田市生まれ。「心の教育」を志し大学は教育学部に進んだが教職の現実に挫折。卒業後、独立経営を目指し「茨城大勝軒」(麺屋こうじグループ)に弟子入り。田代浩二社長から“ラーメン店の心意気”を学び2005年、群馬県のエリアマネジャーとして「常勝軒」を出店。5店舗を開業後09年、(株)景勝軒を設立し独立。現在「景勝軒」を主力に19店舗(2013年5月時点)を展開。