ニューヨーク通信 外食ビジネスの新発想(86)Melt Bakery アイスクリーム・サンドイッチ専門店

2014.05.05 422号 04面
アイスクリーム・サンドイッチ各種。すべて4$

アイスクリーム・サンドイッチ各種。すべて4$

ポップなフロント看板

ポップなフロント看板

 一から作る手作りクッキーに、やはり一から作るアイスクリームを挟んだアイスクリーム・サンドイッチ専門店、「メルト・ベーカリー」。クッキーとアイスクリームのコンビとはいえ、重すぎず、軽すぎず、甘すぎず、大人にファンが多い。ちまたで買えば1枚2$する手作りクッキー2枚にたっぷり挟んだ手作りアイスクリームを4$で食べられるという手軽な値段で、大人気だ。(外海君子)

 ●始まりは週末開催のストリート・フェア

 オーナーのジュリアン・プライターさんは、大学ではフランス語と音楽を専攻し、その後、調理師学校に通い、レストランやホテルでペストリーシェフを務めたという異彩の経歴の持ち主だ。

 同店の始まりは、春から秋にかけて週末開かれるストリート・フェア。プライターさんは、せっせとアイスクリーム・サンドイッチを作ってはフェアで売って資金を貯め、ニューヨークの観光名所の一つ、ハイラインで出店を始めた。今年は、グリニッジビレッジの中心にあるワシントンスクエア・パークでも出店を始めるということだ。

 ●固定店を本拠地に季節限定の出店で稼ぐ

 固定店は、同ビジネスを始めて2年後の2012年にロウワーイーストサイドに設けた。売上げは、出店の方が多いが、固定店は、クッキーを焼き、アイスクリームを作るキッチンやオフィスを備えた本拠地になっており、出店の閉まる冬期も開店している。出店は、春から秋(4月~10月)にかけての期間限定だ。

 ●オーナーによる絶妙な創作メニューは、延べ50種以上

 サンドイッチのメニューは、プライターさんの創作。メニューは、チョコレートチップとクルミのクッキーにバニラのアイスクリームを挟んだ「クラシック」などのベーシックな定番と、クリスマス・シーズンのカボチャのメルトケーキにエッグノックのアイスクリームを挟んだ「パンプキン」などの季節限定のシーズナルで構成されている。基本の人気商品は常に用意しているが、次々に新しいメニューを開発し、ラインアップに加えている。

 これまでに作ったのは50種類以上。クッキーとアイスクリームの組み合わせは絶妙だ。たとえば、キャロットケーキにクリームチーズのアイスクリームを挟んだ「バニーフィート(ウサギの脚)」や、ピーナツバターとバナナを挟んだサンドイッチが好物だったエルビス・プレスリーにちなんで、ピーナツバター・クッキーにバナナアイスクリームを挟んだ「エルビス」、ジンジャードードルクッキーに抹茶アイスクリームを挟んだ「禅」など、なかなかユニークで楽しいラインアップだ。

 かなり大きめのサイズだが、クッキーもアイスクリームも、日本人の口にも合う程よい甘さで、しつこくなく、ぺろりと食べられる。

 ●事業データ

 メルト・ベーカリー(Melt Bakery) /所在地=132 Orchard Street, New York NY/開店日=2012年6月/営業時間=日~木 正午~午後8時 金土 正午~午後10時

 ●人気メニューベスト5

 「クラシック(チョコレートチップとクルミのクッキー、バニラ・アイスクリーム)」

 「ラブレット(レッドベルベット・メルトケーキ、クリームチーズ・アイスクリーム)」

 「シックミント(チョコレート・クッキー、ペパーミント・アイスクリーム)」

 「モーティシア(チョコレートクッキー、チョコレートラム・アイスクリーム)」

 「エルビス(ピーナッツバター・クッキー、バナナ・アイスクリーム)」

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