アポなし!新業態チェック(91)「モエナカフェ」原宿店
●ハワイのニューフェース人気カフェ パンケーキとロコモコ評判
朝食カフェブームが続く中、東京・原宿の裏通りにハワイに本店を構えるパンケーキの有名ブランド「モエナカフェ」が上陸した。経営するのは「紅虎餃子房」や「万豚記」などで知られる際コーポレーションのグループ会社、ヒップスターインターナショナル。
ハワイ本店はワイキキから車で15分ほどの郊外にあり、オープン1年目の2013年にハワイの地元誌「ホノルルマガジン」が主催するグルメアワード「ハレアイナ賞」の朝食部門を受賞したという人気店だ。経営はエリック・チャン氏とニコル・チャン氏夫妻でシェフのエリック・チャン氏は高級リゾートホテル「シェラトンモアナサーフライダー」でヘッドディナーチーフを務めた人物。
原宿店では、「フレッシュフルーツパンケーキ」(1480円)、「シナモンロールパンケーキ」(1100円)、「バナナシャンティリーパンケーキ」(1200円)など5種類のパンケーキの他、ショートリブを使ったオリジナルの「モエナスペシャル ロコモコ」(1680円)、「スモークハムのエッグベネディクト」(1400円)といったメニューを取り揃える。コーヒーも現地の「オールドシュガーミル」ブランドを使用している。
店舗は独立した3階建ての建物で、1階にはテラス席も設けられ、1階から3階まで合わせて約100席の大型店。ナチュラルな木素材を多用し、壁面には大胆に壁画があしらわれた開放的なデザインだ。
すでに8月には2号店の京都店も出店。新たに日本限定メニューも登場し、同社の意気込みがうかがえる新業態である。
★けんじの評価
今回、同店に向かったのは平日の夜8時を過ぎた時間帯。しかも連休明けの月曜日とあって、さすがにこんな日のこんな時間に朝食カフェを訪れる人は少ない。同店は、表参道から千駄ヶ谷方面へと向かう、通称プロペラ通りとキャットストリート(渋谷川遊歩道)の北側に挟まれた小路の一角にある。かつて、「裏原宿」と呼ばれたエリアであり、おそらく以前はファッション店かヘアサロンだったのではないかと思わせる物件だ。
ずっと以前に、一度だけ際コーポレーションの中島武氏とお仕事の席でご一緒したことがあるのだが、そのとき、同氏は米国のサーファー文化のようなものはあまり興味がないと言われていたように記憶している。今回、グループ会社とはいえ、サーファー文化の象徴であるようなハワイの朝食カフェ業態を出店したというのは、すでに同社の舵取りが中島氏の手を離れて、次世代の若手幹部に委ねられ始めたということなのだろうか。現在も続く主力業態のひとつ「万豚記」の出店から約20年が過ぎ、同社は外食業界の中でも独自の地位を確立している。若手外食ベンチャー経営者の多くから、伝説的な人物として尊敬のまなざしを集める同氏だが、今回の新業態出店は、同社にとってはかなり斬新な挑戦のように感じられた。
ところで、エッグズベネディクトという料理が日本でも浸透しはじめたのはうれしいことだが、なぜ日本語メニューではどこでもエッグベネディクトと単数形になっているのだろう。余計なお世話だが、どうも語感がしっくりこないと感じるのは筆者だけなのだろうか。
(外食ジャーナリスト 鷲見けんじ)
●店舗概要
「モエナカフェ」原宿店 開業=2014年6月23日/所在地=東京都渋谷区神宮前4-27-2
●鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウォッチャー。