メニュートレンド:大人がハマる本ワサビ専門店 酒肴一献わさびん
大阪・京橋に一昨年誕生した「酒肴一献わさびん」は、全国的にも珍しい、“本ワサビ専門店”。開店以来、その魅力にハマるリピーターが増加中で、今や“予約が取りにくい店”に。知る人ぞ知る、大人が満足できる料理店として存在感を放っている。
●すべての料理にワサビをプラス 自分でおろして風味満喫
京橋は、さまざまな飲食店が混在する庶民的な町。そのなかで、大人の店として高い評価を受けているのが、本ワサビ専門店の同店である。ゆっくりと料理を堪能できるように、客は、1日5組限定。平均客単価は1万円で、客層は40~50代が中心である。また、接待での利用も多く、「特徴ある料理でもてなしたい」という期待にも応えている。
料理の主役は、もちろん“ワサビ”。店では、静岡県有東木産と中伊豆産、島根県匹見産の3種類の本ワサビを用意。卸してから10分以上たつと、風味が損なわれてしまうため、客には1本の形のままで提供し、客自身が食べる直前に、好みの量をおろして楽しむスタイルである。
おまかせで提供される料理は、酒のアテとして楽しめる手軽なセット「酒肴」(5品、5000円)、食事とお口直し付きの「山葵」(7品、8000円)「絢爛」(同、1万円)で、1グループに1本のワサビ付き。すべての料理にワサビが使用されており、茎や葉などの珍しい味も登場する。
調理のポイントになるのが、素材と風味との調和。だしと合わせて味を含ませたり、ドレッシング状に調味するなど、さまざまな工夫が施され、また食べたくなる魅力的な味に仕上げられている。
実際に、同店ではリピート率が8割で、常連が多いのも特徴。「口コミで利用が広がっており、ワサビ好きの人の多さに驚いています」と、店主の濱平浩行さん。自分自身が子どもの頃からワサビ好きということもあり、「自分がおいしいと思えるものを提供する」というポリシーのもと、とことん本ワサビにこだわった店づくりをしているという。
ワサビ料理考案のため、ハンバーグやパスタなどの洋食も含め、あらゆるメニューに取り組んできたという濱平さん。おまかせ料理の内容は週替わりで、行くたびに新しいアレンジに出合えるのも人気の秘密であろう。
しかし、本ワサビは大量生産が難しく、価格が高いもの。同店では、現地へ出かけて生産者と面識を持ち、直接取引で仕入れている。目標は、重労働をともなう農家の努力に報いるためにも、飲食店の努力で本ワサビを食べる人を増やしていくこと。今後は、よりゆったりした空間で楽しめる、新店舗への移転を予定。また、10年以内を目標に、ヨーロッパやアメリカへの出店で、本ワサビの味を世界へ広げたい考えである。
●店舗情報
「酒肴一献わさびん」 所在地=大阪府大阪市都島区都島南通2-4-12 1F-A/開業=2012年3月/営業時間=午後6時~10時(LO)。日曜・祝日定休/坪数・席数=約10坪・16席/客単価=1万円/1日平均客数=5組限定。※前日までの予約制
●愛用資材・食材
「静岡県有東木産本わさび」 わさびの門前(静岡県静岡市)
同店で使用する本ワサビの一つが、「静岡県有東木産本わさび」。ワサビ栽培の発祥地・有東木の、日本最古のワサビ農家が地沢式栽培で生産。さわやかな辛さが特徴で、同店では、セットやコースに付けるほか、1本(40g前後~)1280円~(税別)でも提供している。