インバウンド特集:訪日客が喜ぶツボ!東京繁盛店事例=六本木「しゃぶ禅 六本木店」
●外国人率6割のしゃぶしゃぶ店 コミュニケーションで文化体験の場に
東京・六本木のしゃぶしゃぶ店「しゃぶ禅 六本木店」は、周りに大使館が立ち並ぶという立地もあり、来店客の約6割を外国人で占める。2009年から旅行会社と提携し地道に営業を行ってきたが「徐々に外国人客が増え始め、13年過ぎから外国人来客数も2倍になった」と田尻愼二店長は言う。その人気獲得の鍵はコミュニケーション重視の接客にある。
しゃぶしゃぶは、外国人客にとって初めて触れる文化が多い食事でもあり、メニューの説明以上のやり取りができることで喜ばれる。例えば、鍋用の菜箸を全員に配り直箸(じかばし)を避ける文化をレクチャーすることで、単なる食事の説明から文化体験として捉えてもらえるように工夫している。また、しゃぶしゃぶで使用する“だし”を初めて見るという客も多く、手元の調味料でだしに味付けをしようとする場合もある。だが、スタッフが多言語でコミュニケーションができるため丁寧な対応が可能だ。
メニューも外国人の視点で構成されている。従来はしゃぶしゃぶに向いたリブロースをメーンにA3~A5の等級に分けてコースを提供していたが、加えて赤身肉やサーロイン、神戸牛など、部位別・ブランド別に変更。お薦めはリブロースとしながらも、さまざまなサシの入り具合を選べるようにした。他にも、箸袋を折り紙で手作りし、お土産に折り鶴などのさまざまな折り紙をプレゼントするサービスも行っており、「100人来店すれば200~300個以上は持って帰られます」と田尻店長が語る通り好評を得ている。現在、さらなる外国人集客を狙い、ネットでタイ語の情報を発信するなど、ターゲットを絞った試みも行っている。
●店舗情報
所在地=東京都港区六本木3-16-33青葉六本木ビルB1/営業時間=月~土 午後4時~午後11時30分、日・祝午後4時~午後11時/席数=130席/平均客単価=1万円