惣菜弁当の殿堂(31)オレボステーション 1g1円・ランチバイキング 地域密着のダイニングコンビニ
◇CVSと惣菜弁当の複合店 作りたての店内調理を徹底!
「オレボ」とは、福井市を拠点に9店舗を展開する「オレボステーション」の愛称。CVSと惣菜弁当の複合店として福井市民から絶大な人気を誇り、中でも「1g1円・ランチバイキング」は全国から同業者が見学に来るほど脚光を浴びている。小川明彦社長は「お客さまが喜ぶこと、自分がお客さまの立場で望むこと」を第一に、地域に密着する「ダイニングコンビニ」を標榜。作りたてとライブ感を演出する店内調理・提供に努めている。
「1g1円・ランチバイキング」日販=約100食(午前11~午後2時まで)
オレボステーション ※福井市拠点9店舗(販売概要と店名は各店異なる)
* * *
●販売実績:平均日販・約60万円、惣菜弁当が約65%
ランチバイキングの料理は約30品。先に客は弁当容器を手に取って、ご飯(または麺飯類)を150g以上詰めるのがルールだ。好きに詰め合わせた後、レジに行って重さを量り、「1g1円」で会計する。バイキング料理は通常の量り売り惣菜と同じため、ご飯ルールを踏まえたとしても1g1円は買い得。採算が厳しいこともあるが、「CVSの“ついで買い”を含めトントンならよい」(小川社長)と割り切っている。
ランチバイキングの日販は約100食、客単価は500~600円。ディナーバイキング(1g1.2円)は約20食。他に、弁当類、おむすび、調理パンなども種類豊富。イートインスペースもあり、麺類や丼物の調理・提供も行っている。
CVSと合わせた平均日販は約61万円で業界トップクラス。その約65%を惣菜弁当を主とする日配品で占める。
●調理概要:ライブ感の演出に注力
地場素材を主に使用し、無添加、家庭料理、作りたての店内調理が基本。とりわけライブ感の演出に注力している。レジ横にグリドルを設置してハンバーグを焼いたり、アイドルタイムにはおむすびのオーダーメードにも対応。新店では焼き魚をオープンキッチンで焼くなど、臨場感の訴求に努めている。
厨房スタッフはピーク時に6人。「厨房と専従を抱えるにはコスト的に大きな決断が必要だが、品質向上と適時提供には不可欠。なによりロス削減の利点が大きい」(小川社長)と言う。
●商品発祥:温かい作りたては売れる!と確信
オレボを経営する(株)大津屋は1573年に造り酒屋で創業した酒販店の老舗。小川社長は大学卒業後に帰郷して家業を継いだが、酒販の環境は厳しく、1981年、CVS「オレンジBOX」を独自創業した。5店舗に増えた89年、卸業者から仕入れる冷えた弁当の品質に疑問を持ち、自分で「焼きそば」と「牛丼」を作って売ったところ、思いもよらぬ大ヒット。焼きそばは麺だけ、牛丼はレトルトをかけただけの即席調理だったが、「温かい作りたては売れる!」と確信を持ち、徐々に品揃えを増やした。94年、CVSと惣菜弁当の本格的な複合店「オレボキッチン」を出店。2011年、ランチバイキングを開始した。
●ポイント:「主従」ではなく「主主」の複合店
オレボを「CVSと惣菜弁当の複合店」だけで表現するのは物足りない。多々ある類似店とは比較にならないほどの“重厚感”があるからだ。
小川社長は「複合の類似店が増えているのは時代の要請だと思います。ですが、CVSがメーンで惣菜弁当がサブ、またはその逆だったり、主従的な複合事例が多い」と語り、「当社は地域密着のCVSを独学で立ち上げ、惣菜弁当のノウハウも地道に研さんしてきました。いわば『主従』ではなく『主主』の複合店を築いたと自負してます」と説く。
「主主の重厚感」は地域密着を積み重ねてきた大きな成果といえよう。
◆会社概要
(株)大津屋
本社所在地=福井県福井市西木田1丁目20番17号
(株)大津屋=1573年(天正元年)造り酒屋として創業。堅調に歴史を刻んできたが、酒販事業が先細り、代を継いだ小川社長が事業転換を決意。大手CVS加盟を試みたが地理的理由で断られ一念発起。独学で地域密着の複合CVS「オレボステーション」を築き上げた。現在9店舗のほか惣菜の通販事業など多角的に展開。