企業トップinterview:甲羅・鈴木雅貴社長 新業態店「黒から」開店

2020.02.03 492号 10面
(左)黒から 豊橋駅前店/(右)看板メニューの「黒から鍋」

(左)黒から 豊橋駅前店/(右)看板メニューの「黒から鍋」

 創業50周年のタイミングでトップが交代した甲羅。創業者でこのほど会長に就いた鈴木勇一氏が1969年に豊橋駅前に山小屋風スナック「どん底」の開業から始まる。現在は「甲羅本店」「カルビ一丁」「赤から」など多種多様な業態を全国で374店舗(9月末、FC含む)展開するなど、19年3月期売上高は185億円までに成長。現在も新たな業態開発に余念がなく、11月には黒マー油を使用した「黒から」、焼肉ホルモンの「29×29亭(にくにくてい)」を業態転換含めて新規開設した。10月1日付で2代目社長に就いた鈴木雅貴氏は「店舗数はFC含めて約380店あり、このたくさんのご縁をこれからも広げるとともに、60年、80年、100年と続く企業にしていきたい」と話す。鈴木新社長に今後の方向性などを聞いた。

 ●創業50周年、縁を大事に100年企業へ

 –新社長の意気込みは。

 社員に対する見方が大きく変わった。今までは、社長がいて、副社長の私がいて、社員がいたが、トップに就任して、社員の幸せを最優先に考えるようになった。今までも考えていたと思うが、トップと副社長ではまったく次元が違う。

 –新社長としてやりたい仕事、作りたい会社像は。

 やりたいことと、できることは違うと思う。やりたいことはたくさんあるが、今できることと、これから研さんを積んでできるようになることは大きく違うと思う。新会長からこれからも多くを学びながら、できることに変えていきたい。甲羅グループの成長の中で、店舗をつくるのも、ファンをつくるのも、「人」であることは間違いない。しばらくは「人」づくりに注力していく。なので、店づくりでも、世の中に受け入れられるコンセプトを取り入れるのと同時に、従業員がいかに楽しく働けるかが重要。まずは「従業員満足(ES)」を追求していく。

 –ESについて、人づくり、組織づくりなど具体的施策は。

 まずは適材適所。まだ業務の重複などもあるので、一人一人の役割を明確にした組織づくりで、人任せでなく自ら考えるチームを作っていく。

 例えば、会長からも教えていただいたことだが、新幹線経営と蒸気機関車経営の違いについて。蒸気機関車は先頭車両だけが駆動し、全車両をけん引する。対して新幹線は、すべての車両が駆動することで、時速300kmというスピードを可能にしている。一人一人がミッションと責任を有して駆動する新幹線経営を次の経営で目指していく。

 –海外展開は。

 現在の海外店舗は、台湾に1店舗あるのみで、事業としては決して好調とはいえない。「赤から」もこれまで、韓国、中国、マレーシア、ミャンマーに出店したが、さまざまな事情で撤退した経緯がある。ただ、手応えは感じており、当面は売上高の1割を目指していく。

 –今後の出店についての考え方は。

 店舗数は、国内は今から3年をめどにグループ全体で、FC含めて400店舗以上を目指したい。海外は、まずは人材育成からだと思っている。

 出店地域は、現在都市部は好調な店舗が多いが、郊外店舗も十分需要はあると見ている。出店はライバル店がいない場所が基本だが、人口が15万~20万人くらいの地域でも、当社の空白地の商圏はまだまだある。よって、都心部では小さくても坪単価の高い業態もあれば、郊外は売上げが小さくても、家賃や人件費も低いことで採算を満たす条件はある。それぞれの地域に合ったフォーマットが重要だと思っている。

 ●黒から 看板メニュー「黒から鍋」

 甲羅が昨年11月1日に新規開設した新業態「黒から」。全国280店舗展開する「赤から」の姉妹ブランドとして満を持して愛知県豊橋市にオープン。同市初の卓上レモンサワーサーバーも関心を集めている。

 看板メニューの「黒から鍋」は、赤味噌のオリジナル味噌と唐辛子など数十種類の調味料を使用した秘伝のスープに、「黒マー油(焦がしニンニク)」の香り、コク、深みが加わっている。鍋具材のトッピングは20種と種類豊富。5種から選べる締めには、真っ黒なイカスミ海鮮リゾットもある。

 また、人気のレモンサワーが卓上で飲み放題。価格は60分500円。レモンサワーは5種類あり、途中で、追加レモン(100円)の“味変”もできるので飽きずに楽しめる。(価格は税抜き)

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