メニュートレンド:貝とホルモンの融合を考案
鍋料理はさまざまな形態が登場しているが、“貝と肉を融合させて炊く”という今までにないアイデアで話題なのが、昨年7月に大阪・心斎橋にオープンした「しじみ炊き肉 くにき」。新しい鍋の魅力にはまる客が急増中で、繁盛店として頭角を現している。
●あっさり風味のだしで楽しむ 人気の締めまでセット
同店は、大阪市内を中心にさまざまな飲食店を展開するSASAYAの系列店。店主の藤原都貴さんは、グループ内の他店舗での勤務を経て、自分のアイデアをカタチにした“しじみ炊き肉”の店を立ち上げた。
「『卓上で料理をする鍋料理と焼肉の、二つを合わせた料理ができないものか』と思っていたところ、自分自身が好物のホルモンと、貝のだしとのマッチングがひらめきました」と藤原店主。
貝の選択では、身から出る味のよさはもちろん、「お酒を飲む人の体によいものを」と、オルニチンの健康効果が魅力のシジミを使用することに。宍道湖産の大粒の商品を採用し、1人前200gと満足感ある量を提供している。
鍋の形状にもこだわり、開口部が広く浅めで適度な厚みがある、特注の鉄鍋を使用。1人用と2人用、3~5人用の3タイプのサイズを用意し、どんな食事シーンにも対応できるように配慮している。
同メニューでまず登場するのが、牛レバー。こちらだけを鍋で焼き、新鮮なおいしさを楽しんでから、本格的に鍋メニューがスタートする。肉は、牛ホルモン6種と赤身(肩ロース、ばら)を用意。野菜と一緒に軽く炒めてから、中央にシジミをダイナミックに投入し、だしを入れて炊き上げる。
鍋のポイントとして苦心したのが、ホルモンとシジミの両方のうま味にマッチするだし。シジミでとっただしをメインに、昆布だしや塩、みりんなどで調味し、あっさりした味わいに仕上げている。卓上には、特製の甘ダレと酢ダレが用意されており、炊き上がった具材を好みのつけダレで楽しめる。
鍋には、雑炊または麺の“締め”もセットされており、客の7割がオーダーするのが「アオサバター雑炊」だ。アオサの風味が食欲をそそる、見た目も面白い人気メニューとなっている。
インパクトある鍋として、SNSにあげる客が多いという同店。情報の広がりとともに、集客数も順調に伸びているとか。「今後は、この業態で梅田方面への進出も狙いたい」と藤原店主は意欲を語る。
●店舗情報
「しじみ炊き肉 くにき」 経営=SASAYA/店舗所在地=大阪市中央区東心斎橋1-13-21/開業=2019年7月/坪数・席数=14坪・34席/営業時間=18時~翌5時。無休/平均客単価=4000円/1日平均集客数=40~60人
●愛用資材・食材
「瀬戸内の花藻塩」 白松(東京都港区)
だしに合うまろやかなうま味
“しじみ炊き肉”は、あっさりしただしで炊くのが特徴だが、そのだしの調理で活用するのが同品。国産海草の二段漬け込みで製造する商品で、海草からのうま味が凝縮された、まろやかなおいしさが魅力だ。同店では、醤油は使用せずに同品で味を調え、具材の風味を生かすだしに仕上げている。
規格=1kg