食物販から学ぶメニュー開発のヒント:「名古屋コーチン入り月見つくね」
●どれほどオーソドックスな食材であっても新たな展開の余地はある
近年、鶏肉の人気が高まっている。鶏肉はクセがなく、どんな料理にも合わせやすい。ヘルシー感があり、おいしいだしもとれる。価格が手頃なことも重要だろう。従来、鶏肉はあまり利益の取れる食材として扱われてこなかった。しかし、現在のように需要が拡大すれば、今後さまざまな商品が登場する可能性があるかもしれない。
今回取り上げた「名古屋コーチン入り月見つくね」は、ありそうでなかった商品だ。かなり大きめのつくねの中に、スコッチエッグのように半熟卵が丸々入っている。つくねの外側にはしっかり焼き色が付き、2つに割ると、中からはとろりと黄身があふれ出す。シンプルだが魅力的だし、何よりも1個300円近い価格に驚く。
この「月見つくね」は、さんわグループが展開する「鶏三和」「鶏撰」などの惣菜店で販売されている。同グループは、名古屋を本拠地として外食店や惣菜店などを展開しており、外食業界でも「鶏三和」ブランドを知る人は多いはずだ。だが、同グループはもともと、名古屋コーチンなどの養鶏事業を中心とした企業だった。昭和の初期に東洋一という規模の養鶏場をつくり、養鶏産業の近代化に貢献した企業だという。「鶏三和」という名称も、同社が持つ純鶏名古屋コーチンのブランド名なのだ。
同グループでは、唐揚げなどの商品をインターネットで販売している。しかし、現在この「月見つくね」は店舗のみでの販売だ。中の半熟卵のせいなのかもしれない。将来は販売されるのだろうか。
よく考えてみれば、これは作りたてを提供する外食にこそふさわしい商品ではないか。鶏肉のようなベーシックな食材においても、アイデア次第でまだ新たなヒット商品を生み出す余地はありそうだ。
(入江直之)
●「名古屋コーチン入り月見つくね」292円(1個・税込み)
「鶏三和」「鶏撰」など(惣菜販売店舗)
所在地:関東、東海、関西を中心にした各地
編集協力:株式会社イートワークス
http://www.eatworks.com/