焼肉特集:「焼肉牛印」 小規模・少数精鋭の新事業モデル
◇“おもてなし”で差別化フルアテンド制
◆約30席・20店舗・年商30億円目指す
東京を拠点に69店舗を展開する「焼肉トラジ」は、フルアテンドサービスを掲げる新業態「焼肉牛印」の多店舗化に本腰を入れる。個室を主体に個別の焼き手(担当接客係)を配置するほか、焼肉史上最多を目される全16~18品のコース料理を提供。ビジネス立地かつ約30席の小規模店をモデルに3年後・20店舗・年商30億円を目指す。
●四季折々に「お肉を心ゆくまで」
同店は「今日はお肉を心ゆくまで」をコンセプトに、小規模ならではの最適化を図り、洗練された素材と接客を提供。少数精鋭を徹底し「特別な焼肉レストラン」を目指す。コロナ禍中に新宿店と銀座店で試験営業を開始。試行錯誤を重ね年商1億5000万円レベルの成果を確認。昨年12月9日に正規1号店の神楽坂店(30坪・7室・26席)を開業した。
金〓(テツ)華ブランドディレクターは「現場スタッフと生産者の交流から店づくりを開始。モノありきではなく、コトありきから学び、理解し、料理と接客の向上に努めた」と語り、「いわばスタッフ皆の思い入れが売り物。すべてのこだわりとストーリーを演出したい」と説く。
料理は注文の約9割を占めるコース料理(1万3000円・税込み~)が主体。担当接客係が焼き手を務め、牛肉6種類をメインに四季折々の副菜(肉料理含む)をふるまう。店舗運営は6~8人(厨房2人)を想定、客単価は夜1万5000円の見込み。「コロナ禍後、トラジ全体で酒販比率が下がっており、当店は15%以下。飲むより『肉を食べたい』という圧力を感じる」(金氏)と言う。
客層は当初、ビジネス接待が多かったが、四季ごとにコース料理の内容が変わるため、四季ごとに来店する常連客も増加。懐石料理や仏料理さながら、美食と創造を味わう目的意識が強まっている。
「手軽においしく食べたい」という客の希望、「より良い焼き加減で食べさせたい」という店の思いが交錯して、焼き手のサービスが登場したが、やはり焼肉は「好きなように焼きたい」という希望も根強く、焼き手の必然性はイマイチ。ならば「すべておいしく食べさせる」に徹した方が潔い。それを実践したのが焼肉牛印のフルアテンドサービスであり、小規模・少数精鋭の新事業モデルといえる。
●フルアンド焼肉 オールインクルーシブコース料理(全16~18品)壱の牛:1万3,000円 弐の牛:1万5,000円 参の牛:1万7,000円 ※価格は開業記念価格(1月末まで予定)
●愛用食材・資材
「トラジ専用ロースター」シンポ(名古屋市名東区)
フラットタイプのトップリング
トラジ専用(セミオーダー)のロースター。必見はロースター輪郭のトップリング。普通はテーブルよりも盛り上がっているが、本機はテーブルと同じ高さのフラットタイプ。焼き網を広く視認でき、焼き手の焼成を見栄えよく、ライブ感豊かに演出する効果がある。
●店舗情報
「焼肉牛印」(東京都新宿区)
経営=トラジ/店舗所在地=東京都新宿区神楽坂3-6-3/開業=2024年12月9日/坪数・席数=30坪・26席(7室)/営業時間=11時30分~14時30分(※ランチ営業は25年1月から)、17時~24時。無休/平均客単価=夜1万5,000円/目標年商=1億8,000万円