焼肉特集:「西麻布けんしろう」 “おもてなし焼肉店日本一”志貫く
◇“おもてなし”で差別化フルアテンド制
焼肉店はもちろん、さまざまな業態の名店がひしめく西麻布。「西麻布けんしろう」はその高級飲食店激戦区に2015年8月オープンした。無名ブランドだったが志は高く「おもてなし焼肉店日本一」を掲げ開業し、今年10周年を迎えるフルアテンド焼肉の先駆け的店舗だ。
●大切な一度の食事に お客さまからの信頼を!
「西麻布けんしろう」のメニューはコース主体。スタッフが肉の部位・産地などを説明し、一枚一枚を客の目の前で焼き、最高の状態で提供する。皿も和皿にこだわった。
しかし、新たなコンセプトはすぐには受け入れられなかった。SNSなどでじわじわと浸透し、グルメタレントがテレビ番組で紹介したことから一気に火が付く。とはいえ、「西麻布けんしろう」のブランドには固着せず、「うしみつ」「銀座ちかみつ」「江戸焼肉」など一つ一つこだわりを持って10店舗を展開するまでになっている。すべてフルアテンド焼肉店だ。
スタッフのおもてなしスキルは互いに切磋琢磨する中でレベルアップしており、スタッフの誕生日を祝うことが目的の予約客もいるほどである。接待や記念日のような大事な日には信頼できるスタッフに直接、予約依頼の連絡が入る。また、社内検定として焼肉師検定制度を設け、1ツ星、2ツ星、3ツ星にランク分けしている。総料理長の焼肉師塾を受講し、焼肉の知識から接客技術まで優れたスタッフに与えられる称号だ。
また、10年の間に特に進化したのが「仕入れ力」。ブランド牛にこだわらず、自らがほれ込んだ鳥取県の「万葉牛」を生産者と二人三脚で産地化に取り組んだ。芝浦の老舗卸からは最上級のタンやハラミなど入手困難な部位も常時入手できる。コロナ禍でも営業し、仕入れを続けてきたことから生まれた絆の証しだ。おもてなしの裏側には生産者・供給者への思いやりがある。
●愛用食材・資材
「シンポトング」シンポ(名古屋市名東区)
繊細にやさしく
自立型のトングで、皿などに立て掛けなくても先がテーブルなどに触れることはない。「トングの先が尖っておらず、丸みを帯びている部分で繊細な和牛をやさしくつかんで焼き上げることができます。焼き手にとって非常に使い勝手のよいトングです」(吉弘賢治部長)。
「大詫間支所産 一流浜」玉喜(佐賀市北川副町)
海のうまみ 濃縮
筑後川と早津江川の2つが有明海に流れ込む大詫間支所の漁場は、河口でミネラル豊富な淡水と海水がぶつかり合い、栄養豊富な海域だ。そこで育った海のうまみが凝縮した海苔。「ウニと同じように海苔の使用量も多いので、品質と安定供給の面から決めました」(同)。
規格=30枚
●店舗情報
「西麻布けんしろう」(東京都港区)
経営=ICE/店舗所在地=東京都港区西麻布4-2-2Barbizon92 1階/開業=2015年8月/席数=32席(9室)/営業時間=17時~23時30分。不定休/平均客単価=2万~2万5,000円