食物販から学ぶメニュー開発のヒント:まつおか「生芋こんにゃく」

2020.07.06 497号 07面

 ●“おふくろの味”をデパ地下で守り続ける惣菜ブランド

 「まつおか」は名古屋に本社を置き、百貨店などを中心として全国に60店舗ほどを展開する惣菜チェーンだ。創業は1987年だが、横浜で関東エリアに初出店したのが2000年、関西には02年の大阪出店が初めてという地道な展開を行ってきた。

 同店は、各店舗で店内調理しているという。工場やセントラルキッチンもあるのだから、主に最終加工だけなのだろうが、それは外食のファミレスも同じだろう。多くの店舗では売場のディスプレイにツル付きの丸鍋が用いられていて、その中に惣菜が盛り付けられる。この陳列はとてもインパクトがあり、デパ地下の惣菜売場の中でもひときわ目立つ存在だ。

 同社サイトで「不動の人気No.1商品!」とうたわれているのが、この「生芋こんにゃく」。群馬県産のコンニャクイモを使用し、ピリ辛に味付けした炒め煮で、おかずとしてだけではなく、酒のつまみにもなる。

 生芋コンニャクとは、コンニャクイモをそのまますりつぶして作られたコンニャクのこと。コンニャクは本来そのようにして作られていたのだが、この方法だと、生芋が出荷される時期に、傷みやすい生芋を輸送できる範囲でしかコンニャクを作ることができない。そこで、生芋を乾燥させて粉にする方法が生まれ、江戸時代にはすでにこの方法でコンニャクが作られるようになったという。食材として売られている白いコンニャクはこの製法で作られたもので、黒っぽいコンニャクは海草類の粉末を混ぜたものだ。生芋コンニャクは茶色っぽい色合いになる。

 同店の惣菜はオーソドックスな和食の家庭料理が中心で、それがセールスポイントでもある。女性社長ならではのユニークな存在感を放つ惣菜ブランドだ。

 (入江直之)

 ●「生芋こんにゃく」 346円(税込み)/100g

 「まつおか」各店

 所在地:(北海道、東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、栃木、愛知、三重、静岡、大阪、京都、兵庫、愛媛、岡山、福岡)

 編集協力:株式会社イートワークス

 http://www.eatworks.com/

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら