メニュートレンド:職人技で生み出す“うまい”米粉麺

2024.02.05 540号 02面

持ち帰り用の米粉うどん麺(冷凍)も用意。1人前380円(税込み)

持ち帰り用の米粉うどん麺(冷凍)も用意。1人前380円(税込み)

大きな看板が目印の地域で愛される店

大きな看板が目印の地域で愛される店

【愛用食材・資材】「七味唐からし」八幡屋礒五郎(長野県長野市)

【愛用食材・資材】「七味唐からし」八幡屋礒五郎(長野県長野市)

 うどんは日本の国民食の一つ。しかし、小麦アレルギーで食べることができない人もいる。小麦に代わる商品として米粉のうどん麺を開発したのが、大阪府堺市の「手しごとうどん工房 はちまん」だ。うどん職人ならではの開発努力で、小麦麺と大差ない味と食感を実現。今後の販売拡大も視野に提供中である。

 ●違和感ないモチモチ感とコシ 世界も視野に通販開始

 同店の看板メニューはカレーうどん。冬場のランチタイムは6~7割の客が頼むという、不動の味を誇る繁盛店である。

 国産小麦の自家製麺で提供する同店が、2023年2月から販売を開始したのが米粉のうどん麺だ。「きっかけは、コロナ禍で多大な打撃を受けたこと。打開策として、新たな顧客ニーズを探ることを考えました」と、代表取締役・八幡(やはた)圭輔さん。

 新しい客層の獲得を目指し、アレルギーでうどんを避けてきた人たちをターゲットに、米粉での麺の開発に着手。まず、手に入るあらゆる米粉うどん麺を試食し、検証したという。

 「感じたのは、味や食感への不満。小麦の代替品ということが重視され、おいしさが後回しにされている印象を受けました」。うどん職人として30年以上の経験と技術を生かし、うまい麺を作りたいと決意したとか。

 しかし、米粉では、粘弾性を生むグルテンが形成されず、うどん特有のコシが出しにくい。米粉の種類や加水率、材料の配合などを研究し、苦労の末に納得できる商品を完成させた。

 食べてみると、モチモチした食感と適度なコシがあり、違和感のない完成度の高さに驚かされる。客からは「子どもに初めてうどんを食べさせられた」と感謝されることもあり、遠方から来る人もいるそう。

 小麦麺から米粉麺へは、通常価格のプラス190円で変更が可能。持ち帰り用のセットや冷凍麺なども販売している。「利用客の98%は小麦麺で、店での提供はテスト販売的なもの。狙いは通販です」と八幡さん。今年から冷凍麺の通販を開始予定で、「まず、日本でのシェアナンバーワンを目指し、グルテンフリーのニーズが高い欧米へも販路を広げたい」と、期待を語る。

 ●店舗情報

 手しごとうどん工房「はちまん」

 経営=はちまん/店舗所在地=堺市西区浜寺石津町西4-14-1/開業=2006年10月/坪数・席数=21坪・29席/営業時間=11時~14時30分(土日祝15時)、17時30分(土日祝17時)~20時30分。月曜休(祝日の場合、火曜休)/平均客単価=1200円/1日平均集客数=100人

 ●愛用食材・資材

 「七味唐からし」 八幡屋礒五郎(長野県長野市)

 辛さの中にうま味あり

 同店で使用する七味は、創業280年以上の歴史がある八幡屋礒五郎が生産する同品。「学生時代に長野で出合って以来、ほれ込んでいる品。辛いだけではなく、辛さの中にうま味があり、もう一口食べたくなる味」(八幡さん)と、創業時から採用。名物のカレーうどんは中辛に仕上げており、好みの辛さに調節できるツールとしても活躍している。

 規格=ミディアム缶28g

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