メニュートレンド:ドカ盛りを分解して個性化 新発想! ごちそう丼を少量多品化
多種多様なネタが丼から飛び出すかのように高々と盛り付けられた「○○丼」は、映えアイテムの筆頭として連日SNSをにぎわせている。が、そうした潮流を逆行したアイデアでSNS拡散につなげたユニークな事例が東京・御徒町の「和牛 三姉妹」が提供する「和牛 三姉妹御膳」だ。
●高単価&高集客の稼ぎ頭
一般的に「御膳」といえば、前菜・副菜・主菜そしてデザートまでが一つにまとめられ、白飯と汁物と共に提供される和食料理。ところが同品は小丼に盛り付けられた3種の丼飯がお膳の上に鎮座する。このビジュアルが「見たことない」驚きを演出して、2750円の高単価ながら1日70食を売るほどの集客力を生み出している。
「三色丼など具だくさんの丼飯は最初こそ見栄えで贅沢に感じるが、いざ食べると味が混ざって単調になってしまう。そんな不満から、いっそ丼ごと分けてしまおうと考えました」と店長の吉富康泰さんは開発のきっかけを説明する。
誕生したのは「しっかり長女の濃厚卵のせユッケ丼(長女)」「贅沢次女の柔らかステーキ丼(次女)」「欲張り三女のホタテ、魚卵3種のせユッケ丼(三女)」の組み合わせ。白飯の量は各90g、具は牛肉各30gプラスアルファで、いろんな味を少しずつ楽しみたいニーズにマッチ。3品とも同じ和牛の内もも肉をメイン食材としているが、調味で違いを作り出して満足度を高めている。
各丼の個性を際立たせるのがタレの役割。「完成度を高めるために試作を繰り返した」と吉富さん。長女は万人受けするシンプルな甘辛さのユッケダレ、次女のステーキにかけるニンニク醤油は食欲を増進させるスパイシーな風味が強烈。三女は寿司酢から着想したほのかな酸味で肉にも魚卵にも合う味を作り出した。
提供開始後も細やかなアップデートを続ける。ステーキ丼ではとろろをかけて提供していたが「とろろが苦手」という若者客が一定数いたことから別添えに変更するなど、客の反応を柔軟に取り入れる点も高い支持が続く要因といえる。
今夏からはディナータイムで居酒屋メニューを充実。「和牛 三姉妹御膳」のご飯を抜いた「夜の三姉妹」といった一品料理でアルコール需要を狙う。同店の新展開に注目したい。
●店舗情報
「和牛 三姉妹」
経営=レフカード/店舗所在地=東京都台東区上野6-5-7 JUNビル2階/開業=2023年10月4日/坪数・席数=12坪・24席/営業時間=11時~15時30分、17時~23時。無休/平均客単価=3000円
●愛用食材・資材
「冨多川葛」 廣八堂(福岡県朝倉市)
タレにのびやかな粘りを実現
「欲張り三女のホタテ、魚卵3種のせユッケ丼(魚卵のせ)」のタレに使用。「ホタテにしっかり絡む粘りを保ちながら、舌触りはあっさりと仕上がる」と吉富康泰店長は評価する。製造元の廣八堂は本葛粉製造140有余年の伝統を誇る老舗。
規格=1kg
〇「和牛 三姉妹御膳」 2,750円(税込み)
「しっかり長女の濃厚卵のせユッケ丼(ユッケ丼)」はみじん切りではなく極薄くスライスした和牛内もも肉に色・味・コクの濃い「マキシマム濃い卵」の卵黄をオン。高級感演出に銀箔をちりばめている。「贅沢次女の柔らかステーキ丼(ステーキ丼)」は表面に焼き目を付けてレアに焼いた牛肉を5mm厚ほどにカット。「欲張り三女のホタテ、魚卵3種のせユッケ丼(魚卵のせ)」は牛肉スライスにホタテ、イクラ、トビコ、キャビアをトッピング