デリカの「今」がわかる中食通信:売れてるご当地デリカ惣菜弁当100選(4)近江デリカ
【急成長商品ナンバー1】手づくりお好み焼(豚玉) 398円(税抜き)/361g キャベツの量がハンパない。炭水化物メニューのイメージから遠く“、野菜のクリーミーお焼き”といったところ。商品を知り尽くし
◆「三方よし」の近江デリカ」
近江商人の哲学「三方よし」そのままに、「買い手によし、地域によし、平和堂によし」の“近江デリカ”を目指し、進化し続けているのが滋賀県を中心にドミナント展開する総合スーパー「平和堂」だ。同店はおいしさを裏付けるストーリーを重視し、素材の力を全面に打ち出した商品なのか、味付けの完成度を強みとした商品なのか、「どんなおいしさを届けたいのか」「何を伝えたいのか」を明確に意識した商品開発を行っている。近年では“スーパーの定番惣菜”からの脱却を図り、外食店に匹敵する味を目指しながら、価値と売価における高コストパフォーマンスを常に追求。同社の根底にあるのは「平和堂のデリカが地域になくてはならない存在になるのが最終ゴール」という思いだ。
●半分以上がキャベツ! キャベツ! キャベツ!「お好み焼き」
ここ数年間の平和堂の改革例で売上げが急拡大したのが「手づくりお好み焼」だ。味わいを劇的に向上させ、直近2年間で売上げは1.6倍にアップしたという。
他店のお好み焼きと決定的に違うのは「キャベツ」。一般的なスーパーのお好み焼は約120gのキャベツを使っているのに対して同品は約175gと、とにかく多い。カットにもこだわり、お好み焼のふっくら感が最も出る切り方を試行錯誤した末に、幅3mmの千切りに行き着いた。言うなれば「キャベツが主役のお好み焼」なのだ。
「ごっつい旨いモダン焼」498円(税抜き)/512g
鉄板焼商品の強化を図り、“アッパーなお好み焼”として考案。人気商品のお好み焼とは雰囲気をガラリと変えた。
「手づくりお好み焼(豚玉)」398円(税抜き)/361g
急成長商品ナンバー1
キャベツの量がハンパない。炭水化物メニューのイメージから遠く、“野菜のクリーミーお焼き”といったところ。商品を知り尽くした従業員が昼食に購入することも多いそうで、その完成度の高さがうかがえる。
●POINT:おいしさのツボ
(1)キャベツまみれ
キャベツの量が1日の野菜摂取量の2分の1分量に及ぶ約175g。幅3mmの千切りにすることでキャベツのみずみずしさを残しながら生地に空洞ができ、ふんわり食感に。
(2)魅惑の“しっとり+ふんわり”食感
だしを加え、完璧な配合になるよう専用の機械で混ぜ合わせたバッター液を生地に使用。
(3)店内の鉄板で焼き上げ
冷凍お好み焼をスチコン調理するスーパーも多いが、鉄板で焼く仕上がりはやはり別物だ。
●刺さる商品Pickup! 名物デリカ6選
「近江牛肉巻セット(すきやき・キンパ)」 1,580円(税抜き)/420g
グランプリ優秀賞受賞!
「惣菜・べんとうグランプリ2024」優秀賞受賞の一品。節分の日に向けて販売している予約限定商品。具材がめいっぱいで巻きが太く、目の前に出されると笑みがこぼれてしまう。
「さば素麺」 480円(税抜き)/190g
観光グルメとしても人気
鯖を甘辛く煮た汁にそうめんを投入して一緒に炊く、昔ながらの滋賀県の郷土料理。地元の人はもちろん、昨今は観光客にも人気が高いという。郷土料理の魅力はやはり侮れない。
「豆腐田楽(小)」 200円(税抜き)/200g
この素朴感がたまらない
寺院が多く豆腐料理が浸透している滋賀県ならではの惣菜。ほんのり甘いネギ味噌と木の芽味噌で食べる豆腐はしみじみおいしい。地方スーパーの惣菜はこうした素朴ながらも妙に魅力的な一品を見つけるとうれしい。
「だしの旨味広がるあじわい稲荷(ゆず)」 698円(税抜き)/293g
もう、いなりはコレでよし
熊本県の「南関あげ」を手本に、にぎり寿司風に仕立てた。添えられたユズも上品で、つまみやすいサイズ感も言うことなし。もう日本のいなり寿司はこのスタイルに統一すべし!
「銀鮭西京焼のっけめし弁当」 698円(税抜き)/357g
分厚い魚の存在感は無敵
48時間熟成させた分厚い銀鮭がどーんと横たわる。面の広い惣菜弁当が多い中、同品はコンパクトな盛り付けで高価格帯。これが大ヒットし、「固定観念が覆された」と同社のチーフバイヤーは言う。
「手造り絹揚げ豆腐の揚げ出し」 298円(税抜き)/約300g
ありそうでなかったアイデア
軟らかい豆腐を揚げるのは難儀だが、絹揚げなら調理も比較的楽だろう。そんなありそうでなかった絹揚げの揚げ出し。平日のみ販売の名物商品として親しまれている。
※24年3月時点での取材情報につき、価格、商品内容など変更している場合あり
●惣菜人気トップ5(年間売上高/2023年度)
1位 旨じゃがコロッケ(7億6,000万円)
2位 グリルチキン(7億円)
3位 焼鳥(6億5,000万円)
4位 極旨いなり(6億5,000万円)
5位 じゅわ旨!! 鶏もも唐揚(6億円)
◆店名=平和堂(合計156店舗/本社=滋賀県)
惣菜売上げ構成比(食品内)13%
◆本社所在地=滋賀県彦根市西今町1番地/創業=1957年3月(「靴とカバンの店・平和堂」)、株式会社設立=同年6月/グループ年商=4,254億4,240万円(24年2月期)/店舗数=近畿・東海・北陸で計166店(うち滋賀県は80店)。大型店舗「アル・プラザ」、小型店舗「フレンドマート」などの業態も展開している。