メニュートレンド:概念覆す“クラフト豆富” イートインで多彩な味提供
豆富8種盛り合わせ 1,100円(税込み) 写真前列右から時計回りに、ハーブ・山芋・とうもろこし・すだち豆富、おからひじき、湯葉・柚子豆富、中央は青大豆豆富、同奥はあおさ豆富味噌汁。※内容は季節により変更あり。商品は、安納芋・とうもろこし・青大豆豆富各440円▽豆乳ソップ810円・豆乳756円・青大豆豆乳810円。※各税込み
日本の食卓に欠かせない豆腐だが、昔ながらの豆腐店は減少の一途をたどり、大多数の人はスーパーで買う食材となっている。そんな状況に一石を投じるのが、2022年にオープンした「YACCO豆富店」だ。驚くほど多彩な味の商品開発やイートインメニューの提供など、今までにない豆腐店の取り組みが話題を集めている。
●卸売の販路拡大目指す
神戸・三宮にある同店は、豆腐店の概念が覆される店。コンクリートの壁面に大きな樹木を配した店内は、カフェのような雰囲気。冷蔵ショーケースには、ポップなイラストが描かれた色とりどりの商品が並ぶ。こちらも一見して豆腐とは思えない風情である。
店内では食事もOK。「豆富8種盛り合わせ」は、代表的な商品の味やアレンジを楽しめる人気メニューだ。また、土曜日の20食限定「豆富屋の朝ごはん」も好評で、常に予約で満席とか。販売&飲食で幅広い客層をキャッチしている。
「豆腐店の数は減り続けており、この食文化を残したいと豆腐の知識ゼロから開業。通常の店にないもの、やらないことに挑戦しないと、ビジネスとして成立しない。小規模の手作りだからこそできる“クラフト豆富”で、個性を光らせたい」と、代表の神原裕さん。
商品は「0歳から100歳まで楽しめる豆富」がコンセプトの充填豆腐。豆腐と多彩な食材を合わせて生み出される風味と、口の中でとろけるような軟らかさが特徴だ。材料は、在来種の大豆から選定し、にがりは、独特の味を軽減するために一般的な商品の半量を使用。タンパク質を数値化して熱の入れ方を工夫し、独自の食感に仕上げている。
豆腐は10種類(取材時)もあり、アレンジ次第で存在感ある一品になるのも魅力。例えば、ディルが入った「ハーブ豆富」に、チーズやトマト、オリーブオイルを合わせればイタリアンなメニューになる。季節により新商品も登場する。
売上比率は、百貨店や飲食店、食品専門店への卸販売が6割で、関東や九州方面への販路拡大も目指したいとか。また、通常は豆腐店では製造しない納豆も商品化。豆乳アイスやペットフードも考案中で、意欲的に取り組んでいる。
●店舗情報
「YACCO豆富店」
経営=RAVO/店舗所在地=神戸市中央区琴ノ緒町1-6-9/開業=2022年10月/坪数・席数=約30坪・9席/営業時間=11時~19時30分(イートイン=16時まで、土曜の朝ごはんは9時~14時)。商品がなくなり次第終了。日・月曜休/平均客単価=物販1600円、飲食1200円/1日平均集客数=40~50人(うち飲食10~15人)
●愛用食材・資材
「母ゆずり 濃口」 横山味噌醤油醸造店(鹿児島県鹿児島市)
口中の余韻が長く、使いやすい
それぞれの豆腐に好適な調味料やアレンジ方法をアドバイスしている同店では、甘味がある九州産の醤油なども販売。中でも同品は、「口中での余韻が長く続くのが魅力。甘味調味料を加えなくてもシンプルに味が入り、いろいろな料理に使いやすい」(神原代表)と、イートインメニューでも愛用する商品である。
規格=1L(常温)